反日映画「731」ヒットの脇で“毒ガス実験室おもちゃ”が登場も…「人民解放軍」が異例の猛批判を浴びせた理由
映画「731」が物議を醸す脇で
9月18日、中国で公開された映画「731」。第2次世界大戦期に細菌兵器を研究し、人体実験も行っていたとされる旧日本軍の「731部隊」を題材にした同作は、公開4日間で興行収入230億円を超える大ヒットとなった。
しかし、その中身はかなり微妙なもののようだ。デイリー新潮は先に、実際に映画を見た日本人ジャーナリストの感想を伝えている。
「何の脈絡もなく唐突に、収容所の廊下で花魁道中が始まるのです。しかも、付き人があんどんや番傘まで持っていて、かなり本格的。収容所の捕虜たちも驚いていましたが、観客の私も驚いてしまいました。あれは一体、何だったのか」
「中庭で捕虜たちに綱引きをさせ、負けた方が処刑されるというシーン。刑場の脇では、ちょんまげに白装束の男たちが三味線を弾いているんです。何だかカオスな状況でした」
トンデモ演出の連続が中国国内でも酷評を呼ぶ一方、ネット通販業界では別の意味でトンデモな「知育玩具」が、なんと人民解放軍の怒りを買っていた。
抗日より“おもちゃ感”が勝る珍品
「当初の意図はともかくとして、これは客観的に見て国民感情を害し、歴史認識の歪曲を示唆している。歴史は忘れ去られるべきではなく、ましてや安易に消費される商品として歪められるべきではない 」
と、人民解放軍の公式SNSアカウントが強く糾弾したのは、中国の大手ネット通販サイトに登場したおもちゃである。その名も「731毒ガス実験室知育組み立てブロック玩具」。731部隊の“悪行”を複数の組み立てブロックセットで“再現”した「知育玩具」だ。
シリーズは全8種。外箱には、激しい炎をバックに「731」と「歴史を心に刻む」の文字や、商品の写真が掲載されている。8種は場面別で、診療台とそこに横たわる人形、トラックと兵隊、機関銃と兵隊、ドクロマークがついたガスボンベと小部屋、カラフルな薬品が並ぶ実験機器と白衣姿の人形といったラインナップだ。
作り手側がどこまで本気で取り組んだのは不明だが、3頭身にデフォルメされた人形や秘密基地風の設備などは、この手のブロックおもちゃによくあるファンシーなデザイン。一見すると抗日より“おもちゃ感”が勝るという珍品である。8種の構成内容からすると、“毒ガスを製造する側”としても遊べてしまう点は大きな企画ミスと言えるだろう。
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