なぜカズレーザーは嫌われないのか 結婚後もブレない「マイペースな生き方」に現代人が惹かれる理由

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謎めいた印象も

 メイプル超合金のカズレーザーと言えば、派手な金髪と赤い衣装が印象的なインテリ芸人である。知的なコメントをする力やクイズの腕前には定評があるが、どこかつかみどころがなく謎めいた印象もある。そんな彼が8月10日に女優の二階堂ふみとの結婚を発表して、世間を大いに騒がせた。【ラリー遠田/お笑い評論家】

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 しかし、当の本人は翌日の情報番組で生報告をしたときにも、表情はいつも通りの淡々としたものだった。二階堂を「社長」と呼んでいることを明かして笑いを取ったが、そこに「新婚らしい多幸感」をことさらに強調する雰囲気はなかった。その後も、家庭的な面をアピールしたり、新しいキャラクターを打ち出したりすることもなく、これまで通りの姿勢を貫いている。

 この「変わらなさ」こそがカズレーザーの本質だ。彼が芸人として初めて脚光を浴びたのは、2015年の「M-1グランプリ」で決勝に進出したときだ。強烈なビジュアルや唐突すぎるボケ以上に印象的だったのは、緊張や気負いを一切感じさせない自然体の振る舞いだった。意気込んだ姿を見せることなく、自分が面白いと思うことをそのまま差し出すだけ、といった雰囲気だった。その基本的なスタイルは、のちにクイズ番組や情報番組に出るようになってからも変わっていない。

 彼はテレビに出始めた頃にクイズ番組で結果を出し、インテリ芸人としての地位を確立した。しかし、そこでも「必死で勉強して頭が良くなった自分」を誇示するようなことはなかった。むしろ「知識を得ること自体が楽しい」という子供のような純粋さを見せていた。知的好奇心のままに学ぶことで結果として知識が豊富になっただけ、という感じを漂わせていた。このスタンスは視聴者に計算高さを感じさせない。だからこそ、彼はクイズ系のタレントの中でも好感を持たれている。

 さらに、社会問題を語るコメンテーターとしても信頼を集めるようになった。核心を突く発言をしながらも、彼の言葉が刺々しく聞こえないのは、そこに攻撃的な意図がなく、フラットに物事を見つめる態度があるからだ。瞬発力と論理性、そして飄々としたキャラクターが合わさることで、カズレーザーは「言いたいことを言えるのに嫌われない」という希少なポジションを手に入れている。

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