初のわが子誕生に動揺しすぎて「不倫しちゃった」夫 産後の妻が一喝しても2度3度…歪んだ心理の裏にあるもの

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【前後編の後編/前編を読む】妻に「ママ」を求めてしまう哀しき50歳夫 原因は“親失格の実母”と“バイト先の女将”のせいなのか

 高藤峻也さん(50歳・仮名=以下同)は自らを「そばに女性がいないと落ち着かない」タイプだと語る。幼少期は、母からネグレクトを受け、妹は非行に走った。大学生時代には、バイト先の女将と道ならぬ関係をもってしまう。日本の男性には妻を「母」のように思ってしまう人が少なくないというが、峻也さんの場合は、それが人より激しいのかもしれない……。

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 大学を卒業すると、峻也さんは第一志望の企業に入社し、張り切って働き始めた。1度聞いたことは忘れず、要領よく仕事をこなしていった。先輩に誘われれば必ず飲みに行き、仕事や人間関係について話を聞いた。半年もたつと、同期の中には「やる気が出ない」「何のために働いているのかわからない」という声が上がり、退職していく者も出始めたが、彼は常に生き生きと動いていた。自分で稼いで自分で暮らしていけることが楽しくてたまらなかった。

「会社中の仕事を覚えたいくらいでした」

 そんな新卒を会社は放っておかない。上司の覚えもめでたく、3年目で大きなプロジェクトのメンバーに抜擢された。忙しい日々だったが、そんな輝く男がモテないわけがない。上司や先輩からは「女でしくじるなよ」と言われていたから、峻也さんはそのあたりは慎重だった。

「もともと僕はそんなにお人よしではないし、人の裏を見ようとする習性があったから、そう簡単に女性には騙されない。そこは自信がありました。それに恋愛や結婚にはあまり興味がなかった」

友佳子さんとの出会い

 だが順調に仕事で活躍していると、周りが放っておかない。28歳のときに先輩が、「そろそろ結婚を考えたほうがいいんじゃないか」と、自分の妻の友人を紹介してくれた。先輩のメンツをつぶさないようにと会ってみたのだが、峻也さんは一目で相手の友佳子さんに惹かれた。同い年だが浮ついたところがまったくなく、落ち着いた地味な女性だった。そこがよかった。

「どうやって家庭を作るかわからなかったけど、この人に任せておけば大丈夫だろうという確信がわいてきて……。2、3回会ったところで結婚を申し込みました。友佳子は『結婚? お互いに全然わかりあってないと思うけど』と笑っていました。彼女は何を聞いてもパニクったりしない。常に堂々としていて、ものごとを冷静に判断する。『僕はすでにあなたを信頼しているんだ』と言ったら、『信頼だけで結婚していいの?』と。鋭い指摘ですよね。でも僕はそれでいいと思っていた。恋愛感情なんて不確定なものより、信頼感のほうがずっと大事だと思うと言ったんです。彼女は『わかった。じゃあ、このままホテルに行こう』って。それもそうかなと思って行ってしまいましたが、慣れない僕をうまく導いてくれて。性的な場面で男がリードしなくちゃいけないなんて僕は考えていなかったので、彼女が慣れていてよかったなと思った」

 いろんな男の人と出会ってきたのと尋ねると、友佳子さんは「そうでもないけど、私はちゃんと恋愛してきたから」と言った。その言葉に、峻也さんは生まれて始めて羨ましいと素直に思ったという。

「僕はものすごくいろいろなものが欠落している人間だと、社会に出てよくわかったんです。だから友佳子から『愛情とか人を好きになる気持ち』を学びたかった」

 どこまでも素直なのが峻也さんの特長なのかもしれない。

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