「古墳を自分の墓にできる」 前方後円墳墓に問い合わせ殺到のワケ 意外に安い初期費用は?

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全国100基を目指す

 香川県高松市の郊外にある「高松ほたるローズガーデン」には、今年5月に竣工した2基目の古墳墓がある。夏の盛りに訪れると、野田市と同じような田園風景の中に霊園があった。古墳墓は、野田ほたるローズガーデンと同規模の前方後円墳で、見た目もそっくりだ。

 スタッフの白川智子さんは、高松での手応えを語る。

「当社ではWebサイト『古墳の窓口』から購入し、クレジットカードで決済できる仕組みを導入しましたが、これが非常に好評で、実際にWebで購入される方も多いんです。現地に足を運ばなくても完結できるため、距離にとらわれず全国どこからでも選んでいただけます。お墓のDXによって、より自由で身近な選択肢になっていると実感しています」

 設計を担当した大西吉夫マネージャーもこう話す。

「高松の土地柄をどう生かすか考えました。ここは海と山が近く自然環境に恵まれた場所です。蛍やバラといった地域の資源を霊園に取り入れることで、“訪れる楽しみ”をつくりました。高松は四国でもアクセスがよく、関西から車で来られる方も多い。従来は“お墓は自宅近く”が一般的でしたが、今は旅行や里帰りと結び付いています。ここでしかできない特色を出すことで、全国から注目される場所になっていると感じます」

 竹田氏によれば、大阪府で9月に3基目が竣工し、プレオープン販売分280区画が完売したという。愛媛県、広島県などでも築造の予定があり、5年で全国47都道府県に2基ずつ、合計100基を展開することを目指している。

日本人の宗教観と美意識に作用

 樹木葬の一種である古墳墓は、新しい墓のスタイルとして日本に根付いていくのか。浄土宗正覚寺住職で「良いお寺研究会」代表理事、作家の鵜飼秀徳氏に話を聞いた。

 鵜飼氏によれば、古墳型のお墓の先駆けは1989年に新潟市の妙光寺に建立された「安穏廟」だという。古墳型のデザインを取り入れた永代供養墓で、円墳型の美しい構造と祈りを集める宝塔を備えた設計が注目され、大きな反響を呼んだ。その後、青森市の廣田神社には神道式の古墳型合葬、福岡県新宮町の新宮霊園には全長50メートル超の前方後円墳型墓所が造られるなど、全国に広がった。竹田氏の前方後円墳型の墓も、その延長線上にあるという。

「樹木葬や永代供養墓が広がった背景には、リーマンショック以降に顕在化した人口減少と、それに伴う墓の維持困難があります。“家のお墓”は承継者がいなければ維持できず、その代替として“期限付きの永代供養墓”が求められるようになりました。これは費用の問題だけでなく“墓じまい”や“子供に負担をかけたくない”という新しい価値観の広がりと結び付いています。興味深いのは、古墳というフォルムが日本人の宗教観と美意識に深く作用している点です。古墳は、弥生時代から古墳時代にかけて“盛り土の祭祀”の象徴であり、神の依(よ)り代(しろ)としての性格を持っていました。古墳に対する既視感や親しみ、天皇陵や日本古来の宗教的構造物としての理解が、現代日本人の無意識に息づいている可能性があります」(鵜飼氏)

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