実はハードルが高くない「国会議員への陳情」 若手議員からは「誰でも来てほしい」との声…仕事熱心な議員を見極める“ポイント”とは?

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 国に対して声を届ける、もっともポピュラーな手法は選挙で投票することである。しかし、選挙で選ばれた国会議員に対面し、直接自分の意見や希望を伝えることもできることを知る人は少ない。それが陳情である。最近、SNSで陳情に関心をもつ人が増えているようだが、具体的にはどのように行えばいいのだろうか。【文・取材=山内貴範】

陳情は立場を問わず誰でもできる

 ある若手国会議員は、「SNSで議員会館に陳情へ行ったことを報告する人が増えた影響か、自分でもやってみようという人が増えていると思います」と語り、「誰でも陳情に来てほしい」と話す。SNSは相手の顔が見えないことも多いうえ、打ち合わせがリモートで行われるケースが増えた現代だからこそ、対面で話をするメリットは大きいのだ。

 与野党で秘書経験を有し、現在は複数の業界団体で公共政策を担当するA氏は、陳情についてこう解説する。

「陳情は立場などに関係なく、誰でも、誰へでもできます。自分の考えに近い議員を調べて会いに行ってもいいし、敢えて反対の意見を持つ議員に説得へ行くのでもいいでしょう。個人で行っても、集団で行っても構いません。

 実際、私が見てきた陳情の内容も、勤務する業界での困りごとから日々の暮らしの中で公共施設に感じていることなど、様々でした」

 目白にあった田中角栄の自宅には、陳情に訪れる人が連日のように列を作っていたといわれる。角栄のゆるぎない実行力と信頼は、陳情によってつくられたといえるかもしれない。

質問主意書をたくさん出している議員は仕事熱心

 ニュースでたびたび報じられ、社会問題になっているテーマであれば、「あの議員に話を聞いてほしいな」と顔が浮かぶかもしれない。しかし、まだあまり世の中で議論になっていない話題の場合、どんな議員がふさわしいのか、そもそも議員がどんな考えをもっているのか、わからないのが普通だ。そんなときは、どうすればいいのだろうか。

「ひとつアドバイスをすれば、質問主意書をたくさん出している政治家は、それだけ熱心に活動しているし、いろんな人の話を聞いているといえます。質問主意書とは、国会議員が内閣に対して、法案や政策などについて質問を行う際に提出する文書で、インターネット上でも閲覧できます。慣例として野党しか出さないものですが、政府の政策に全面反対するのではなく、問題解決型、対話重視型の質問も少なくありません。

 国会質疑は所属する政党(会派)による割り当てで、時間や回数に制限はありますが、質問主意書に制限はありません。たくさん出している議員は、いつも質問のネタを探しているので、陳情を積極的に受けることが多いようです。当選回数が少ない議員なら、なお良いでしょう。

 もしくは、あなたの選挙区から選出されている議員がおすすめです。地元で、個人名でポスターが貼ってある議員といえば、わかりやすいでしょう。2人以上いる場合は、雰囲気やブログなどを見て、お好みで選べばいいと思います。

 あとは、出身地や出身大学が一緒とか、ちょっとしたきっかけがあれば話もしやすいですよね。与党じゃないとダメということも、野党じゃないとダメということも、まったくありません。でも、“政党はよくよく考えましょう”とだけは、念を押しておきます」

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