実はハードルが高くない「国会議員への陳情」 若手議員からは「誰でも来てほしい」との声…仕事熱心な議員を見極める“ポイント”とは?

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手当たり次第に陳情は逆効果

 陳情を成功させるには、ある程度の戦略を立てて臨むことが重要である。

「“誰でもいいや”という感じで、手当たり次第に陳情に行く人や団体がいます。その気持ちはわかりますが、議員も人間です。“あの人のところに行ったのなら、自分じゃなくてもいいのでは”と思われては、逆効果。本気で何か実現したいことがあるのならば、“この人だ”と狙いを定めて陳情したほうがいいと思います。

 とはいえ、“この人だ”と思える人に出会えるまでが長い、という話はよく聞くところです。SNSやホームページをこまめに見て、相性が良さそうな議員を調べてください。SNSって、けっこう議員の人格が出ていて、面白いですよ」

 なお、アンチ与党の人は野党にしか陳情に行かないケースもあるし、その逆もあり得る。しかし、党の考えと異なっていても、個人レベルでは話がしやすく、理解を示してくれる政治家も少なくないのだ。

「できれば、与党と野党のどちらにも陳情し、双方に最低ひとりは信頼できる議員を作っていくといいですね。本気で活動を広げて、提言を国政の場で実現したいのであれば、与野党の枠を越えた広がりがあったほうが強いので、なおさらです。それこそ、政権交代もあり得る時代なわけですから、どちらの立場の議員とも話をしておき、味方を作っておくのがいいと思います」

SNSに不満を書くくらいなら陳情しよう

 そのほかに、陳情の注意点はどのようなものがあるだろうか。

「政治家に対しては、過度に攻撃的にならずに、正確な情報を伝えましょう。自分の困りごとや受けた被害を誇張したり、嘘のデータを出すのは絶対にやめてください。陳情に限ったことではありませんが、仕事だって、話を盛っていることがバレたら信用は回復しませんよね。

 あと、自分たちの思いを伝えることは存分にやっていただきたいのですが、感情的になったり、怒鳴ったりはしないでください。役所に対して怒鳴りつける感覚で、政治家に対しても怒鳴る人が増えてきた印象を受けます。陳情に行くときは、あくまで問題解決に行きましょう。国民がストレスや怒りをぶつけるのは、投票のときと心得るべきです。

 SNSでは政治の話題で盛り上がることが増えていますが、XなどSNSで議員にアンチのコメントを書いても世の中は変わりません。直接会いに行って話を聞いてもらうほうが良いですよ」

 陳情によって国会議員と信頼関係を築き、社会問題の解決に成功している人は少なくないと、A氏は話す。政治は人間が行うもの。そのために対話が大切なことは、いつの時代も変わらないようだ。

ライター・山内貴範

デイリー新潮編集部

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