息子夫婦に「レス問題」が発覚 このままでは孫が…63歳夫が走ってしまった“許されない解決策”

  • ブックマーク

雪菜さんの妊娠、父親は

 それ以来、哲朗さんは雪菜さんとふたりきりで頻繁に会うようになった。ときには町を越え、市を越えて遠くのホテルを利用した。バレたらどうしようとは考えなかった。目の前の彼女に心を奪われていたからだ。

「雪菜さんは明るくなり、家事も以前よりきちんとするようになった。夫の好物を作ったら喜ばれたと話してくれる。僕は嫉妬しましたよ。だけど、息子の幸せにつながっているという皮肉な結果になっていることを認めざるを得なかった。雪菜さんは『でも、私が愛しているのはお義父さんだけ』と抱きついてくる。苦しいけどうれしい、つらいけど楽しい。そんな日々で、脳が破裂しそうでした」

 雪菜さんから「妊娠した。時期的にあなたの子だと思う」と言われたのは4ヶ月ほど前のことだ。それもまたショックだった。夫婦関係は相変わらずほとんどないと言われていたのに、実際はもっと頻繁にあったらしいことがわかったからだ。

「雪菜さんはそれを認めてはいません。でもあの口ぶりから言って、どちらの子かわからないというニュアンスだった。僕の子だと思うと言ったのは、僕の関心を維持したいからじゃないかと疑っています」

己を呪うしかない

 息子からルミさんへと情報が伝わり、ルミさんは大喜びで哲朗さんに報告してきた。もうこうなったら男でも女でもいい、商売を継がなくてもいい、ふたりが幸せならいいとルミさんは「ひどくまっとうな反応」を見せたという。

「僕の子だったらどうなるんだろう、どうするんだろうと雪菜さんに言ったら、『大丈夫。わからないわよ』と。そのとき初めて、この子、怖いことを言うなと改めて思って……」

 それでもふたりの関係は終わってはいない。「もうじき安定期だから、そうしたら、ね」と雪菜さんに囁かれ、それを楽しみにしてしまっている自分に気づいてもいる。

「ここで彼女とは義父と息子の妻というだけの関係に戻らなくてはいけないと思ってはいるんです。でも彼女に誘われたら断り切れないかもしれない。それが怖い。己を呪うしかない」

 もう2度とふたりきりでは会わないほうがいい。それはわかっている、でも……と彼は堂々巡りを繰り返す。目の前の危機から目をそらしているのか、危機を実感していないのか。自分の気持ちを持て余していると言いながら、彼はふらふらと去って行った。

 ***

 良き家庭人だった哲朗さんが一転、自ら「許されがたい不倫」と語る関係に走ってしまった……。彼の胸の奥底では、過去にルミさんに裏切られた記憶が尾を引いているのかもしれない。その経緯は【記事前編】で詳しく紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 4 次へ

[4/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。