息子夫婦に「レス問題」が発覚 このままでは孫が…63歳夫が走ってしまった“許されない解決策”
「次は息子の嫁だわ」
「息子はルミと一緒に仕事をするようになって、その手腕に敬意を抱くようになったようです。ルミは、次は息子の嫁だわと張り切っていた。あんまり干渉するなよと言ったのですが、彼女は『私が認めた女性でないと困る』と。僕の知らないところであちこち探していたらしい。あるとき連れてきた女性と息子を見合いさせて、それだけで結婚を決めてしまった。あり得ないでしょ。息子に本当にいいのかと何度も聞いたけど、息子は『おかあさんがいいというんだからいい』って。なんだかちょっとイラッとしたんですよ、そのとき」
それでも反対する理由はなかった。両家の顔合わせで相手の女性に会ったとき、彼はそっと彼女に聞いてみた。たった1回の見合いで決めていいのかと。すると彼女は微笑みながら「息子さんは誠実な方だと思いますので」と言った。その表情はどこか悲しげに見えた。
「あとから知ったんですが、彼女の家、あまり裕福でなかったんですよ。父親がいなくて母親は病弱。彼女は高校を卒業してからずっと働きづめだけど、まだ弟や妹に学費がかかる。妻は献身的に家族に尽くす彼女を見初めたようで、家族のめんどうはうちが見るからと息子の妻になるよう言い含めた」
30歳の息子が、どこまでその事情を知っていたのかはわからない。哲朗さんの「たっての願い」で、新婚の息子夫婦は自宅近くの新築マンションへと移り住んだ。息子の妻の雪菜さんは24歳だった。自分たちと一緒に生活させるのは忍びなかった。
「ルミにも新居には行かないほうがいいと言い含めました。息子のことを思えば、静かに新婚生活を送らせてやろうと。ルミも渋々納得したようです」
子どもができないことにイラだつルミさん
だが結婚して3年たっても子どもができないことに、ルミさんはイライラし始めた。息子に商売を継がせたら、次は孫が生まれるのが彼女の目標だった。次から次へと目標を設定し、クリアしていくのが彼女の生き方なのだと哲朗さんも理解はしていたが、夫婦のことに関しては息子たちに任せたかった。
「極端に言えば、子どものいない人生でもいいじゃないかと。夫婦がそれで納得しているなら。でもルミは我慢できずに、息子に尋ねたようです。孫はできないのかって。そうしたら息子が『雪菜が応じてくれない』と言ったらしくて……」
ルミさんは雪菜さんにぶしつけに聞いてしまった。「あなた、どうしてしないの?」と。雪菜さんは泣いていたそうだ。哲朗さんは耐えられなくなって、雪菜さんをこっそりドライブに連れ出した。
「妻が失礼なことを言ってすまないと謝りました。雪菜さんは言葉少なでしたが、『お義父さんにドライブに誘ってもらってうれしい。少し気持ちが晴れます』と言ってくれて。一緒に昼食をとったんですが、彼女も覚悟を決めたのか、食事が終わるころ『私は拒否していません。夫がめったに誘ってこないので』とつぶやいた。結婚して3年で、片手で余るほどしかしていないと。もしかしたら、夫には本当に好きな人が別にいるんじゃないでしょうかとも言っていました」
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