閉幕目前、どうなる「アフター万博」 “祭りのあと”の観光客減は不可避…大阪の未来を占うと

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 なんだかんだで盛り上がりを見せた大阪万博は、閉幕まで1か月を切った。「祭りの後の静けさ」という言葉が示すように、にぎわいと反動は表裏一体。熱が冷めたあと、大阪はどのように新しい魅力を示すことができるのか。消費経済アナリストの渡辺広明氏がレポートする。

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 不振が心配された事前予想から一転、大阪・関西万博は、運営費の採算ラインを超える見通しで「黒字化」の目処がついたと報じられている。10月13日の閉会が近づくなか、来場者も最多人数を更新するなど盛況となっているようだ。

 万博が開催されていたここ半年は、大阪観光も盛り上がった期間だったといえる。現在、“ひっかけ橋”として知られる道頓堀の戎橋を訪れると、ナンパが繰り広げられるバブル頃までの光景は無く、グリコ看板のバンザイポーズで写真撮影する様々な国からのインバウンド観光客でゴッタ返している。

 コロナ禍前、筆者は、商品開発に携わったTBCのフェイスマスクの売り込みのため、心斎橋筋のマツモトキヨシ店頭に立って販促していたことがある。当時のインバウンド客は、中国を中心とした台湾、香港、韓国からの“爆買い”勢がほとんどだった。それを思うと、インバウンド客の多様化にも隔世の感を覚える。

 2013年から観光局が中心となり“観光復興”や訪日客誘致に力を入れていた大阪。コロナ禍の厳しい時期を乗り越え、関係各社の思いがここでいったん結実したように感じている。

すでに見えている?「アフター」の兆し

 大阪の魅力を改めて海外に知らしめることができた万博だが、万博の閉幕によって、インバウンド客が大阪を訪れる動機がなくなることは想像に難くない。また国内の観光客数もひと段落するのではと言われている。「万博に行ったので、次は大阪では無いところへ……」という意識があるようだ。

 様々なホテルの予約サイトで「万博後」を見てると、価格は落ち着きはじめている。このことからも、その兆しはうかがえるかもしれない。また観光庁の発表資料では、全国の日本人の宿泊者数は6月が前年同月比-3.4%、7月は-1.1%。外国人観光客はそれぞれ-1.3%、-2.5%というデータもあった。5月までは+2.3%、+16.7%だったことを鑑みると、落差は激しい。そんな“アフター万博”の要になりそうな施設として、ここでは2つのスポットを挙げてみたい。

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