閉幕目前、どうなる「アフター万博」 “祭りのあと”の観光客減は不可避…大阪の未来を占うと
「日本に来ないと楽しめない」唯一無二
「OMO7大阪」はあらたな大阪の魅力を伝えるスポットとして存在感を発揮しているわけだが、既存の施設も引き続き顧客を魅了する努力を怠ってはいない。その筆頭がUSJである。もはや不動の“大阪観光の雄”は、万博があったこの半年間をどう捉えているのだろうか。
「観光客の動向、アルバイトの必要人数の確保を万博が始まるまで心配していましたが、杞憂に終わりました。むしろ、これだけ多くの人々がベイエリアを中心に訪れても受け入れられる大阪のケイパビリティを示す形になりました」(USJマーケティング本部・金澤亮シニアバイスプレジデント)
すでにUSJを知っている読者には自明のことかもしれないが、「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」がオープンして以来11年ぶりに現地を訪問した筆者は、驚きの連続だった。コロナ禍の2021年にオープンした「スーパー・ニンテンドー・ワールド」にはじまり、ポケモン、ハローキティなど様々なキャラクターがショー、パレードに登場……。期間限定アトラクションでは「SPY×FAMILY」アーニャを体験できる施設もあったが、過去には鬼滅の刃やドラえもんなどのコラボもあったようだ。このところ中国発のキャラクター「ラブブ」が世界を席巻しており、日本のキャラクターの行く末を心配していたが、そんな事が吹き飛ぶぐらいの人気だった。
改めてUSJの強みについても考えさせられた。まず、アメリカのテーマパークではあるものの、ディズニーランドとは違い「日本に来ないと楽しめない」唯一無二のテーマパークとなっている点。また、しばしば比較される東京ディズニーリゾートのアトラクションは、題材となった物語の世界観をある程度は知っていないと楽しめない面もあるが、USJは、キャラクターが多彩な事もあり、誰が行っても楽しめる。2023年の入場者は約1,600万人と世界第3位で、国内では1位(米テーマエンターテインメント協会調べ)。観客数はさらに伸びているようだ。
少し話題は逸れるが……「Wi-Fi」もまた、地味ながらUSJを下支えしている点かもしれない。日本のインバウンドでの弱点として、Wi-Fiスポット不足、接続の不安定さが、しばしば外国人観光客から挙げられる(訪日外国人向け旅行情報サイト「GOOD LUCK TRIP(好運日本行)」ほか)。その点、USJはパーク全体で無料Wi-Fiが利用出来るよう環境が整えられており、ストレス無しで「公式アプリでアトラクション待ち時間やマップを確認」「SNSで写真や動画をその場で投稿」といったことができた。USJに限らず「Wi-Fiの充実」は、インバウンド観光の今後の成功を後押しするためには重要なポイントとなりそうだ。
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