閉幕目前、どうなる「アフター万博」 “祭りのあと”の観光客減は不可避…大阪の未来を占うと

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ローカル大阪の一面を提供

「大阪観光」と聞いてあなたは何を想像するだろうか?大阪観光局の訪問スポット調査(平成30年)によると、ベスト3の「道頓堀」「大阪城」「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」に人気が集中。やはりというべきかもしれないが、それ以外の食やスポットへの魅力が伝わりきっていないという課題が大阪にはあるようだ。

 たとえば筆者は出張で大阪を訪れる時は、仕事の合間を縫ってコリアンタウンの鶴橋に焼肉を食べに行ったり、新世界・通天閣や西成エリアに足を運び大阪の多様性を感じに行くのだが、こうした良さは、まだ広く知られていないのかもしれない。

 その点で、星野リゾートの「OMO7大阪 by 星野リゾート」は、大阪のまた違った一面を観光客に見せようと力を入れている。

「街と一体となったホテル」をコンセプトにしたこの施設が建つのは、新世界や西成近くの“ローカル大阪”エリア。開業前こそ、治安を不安視する声があったものの、オープンから3年が経つ現在では、街の新たなランドマークとして受け入れられている。

 星野リゾートが「大阪の新しい観光拠点」として位置づけるだけに、「これまでにない大阪の魅力」を打ち出す施策が投じられている。たとえば、ホテルスタッフの案内のもと、近隣エリアのリアルでディープな大阪下町文化を体験できるアクティビティ「ほないこか、ツウな新世界さんぽ」「めっちゃ串カツどっぷりツアー」が定期的に開催され、一般的なツアーではなかなか訪れないユニークな名所を回る内容となっている。また、夜に行われるイベント「PIKAPIKA NIGHT」は、たこ焼きとクラフトビールを両手にホテル壁面に映し出されるLEDを使った光の演出を芝生のスペースで楽しむというもので、これまた新しい趣向だ。

 無視できない「アクセス」の点を見ても、ホテル最寄りの新今宮駅は、JRと南海電鉄が乗り入れており、京都や奈良、神戸や和歌山から1時間弱で来ることができる。近接する大阪メトロの動物園前駅も2路線が利用でき、大阪内の移動も便利だ。梅田や難波に集中していた観光拠点の新たな選択肢になっているかもしれない。

 万博後を、星野リゾートとしてはどう考えているのだろうか。

「来阪インバウンドではアジア圏のお客さまも多く、国内旅行や日帰り旅行の感覚でいらっしゃる方が多くいらっしゃるのが特徴です。2025年世界の観光都市魅力的度ランキング (Yanolja Resarch調査)では、大阪がパリを抑えてトップとなっています。今後も、日本のインバウンド観光のゲートウェイとして大阪はますます重要なエリアになっていくと考えています」(櫻井潤マーケティンググループディレクター)

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