複雑化する2025年の「持ち家vs.賃貸」論争 住宅価格も賃料も“沸騰”のいま「無視できない視点」とは

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将来、田舎に戻るという選択肢も 今の暮らしも大切にしたい

 とはいえ、家族のおかれた状況で持ち家と賃貸の有利性は異なる。例えば、ずっと賃貸暮らしで、将来的に都市を離れ生まれ育った実家に戻るという選択もある。

 そうしたケースでは、住宅ローンの借入れ無しで家計をやり繰りできるので、余裕資金を旅行や教育資金に充てることも可能だ。賃貸ならば、そのステージのライフスタイルに合わせて、住まいを替えることもできるし、十分な貯蓄があれば、キャッシュで家を買うという選択もできる。

 持ち家か賃貸かの選択は、ライフプランとライフスタイルの両方をよく考えることが重要だろう。

 宅建協会が実施した、全国の20歳以上の男女への「持ち家派・賃貸派に関する意識調査 2024年」によれば、持ち家派は63.3%、賃貸派は20.1%と持ち家派が賃貸派を大きく上回る。

 しかし、10年前と比べると持ち家派が減少しており賃貸派は、やや増加傾向にある。

 持ち家派の理由のトップは、「家賃を払い続けることが無駄に思えるから(55.8%)」。いっぽう、賃貸派の理由のトップは、「住宅ローンに縛られたくないから(42.1%)」だ。

 人生は一度きり。賃貸にしても持ち家にしても大切なのは、今の暮らしが充実していること。もし余裕資金があり不満があるなら住み替えを検討してみてはどうだろう。もっと良い条件の賃貸があるかもしれないし、家賃並みの支払いで理想の住まいを購入できる場合もある。持ち家か賃貸かは、悩ましいところではあるが、将来を見据えより良い住まいを選択したい。

岡本郁雄(おかもと・いくお)
不動産コンサルタント及びFPとして、講演、執筆など幅広く活躍中。TV・雑誌など様々なメディアに出演、WEBメディア「街とマンションのトレンド情報局」も運営している。30年以上、不動産領域の仕事に関わり首都圏中心に延べ3000件以上のマンション・戸建てを見学するなど不動産市場に詳しい。岡山県倉敷市生まれ、神戸大学工学部卒。

デイリー新潮編集部

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