「定年おつかれさま」直後に「離婚して」 妻の爆発も当然…61歳夫がやらかしてきた“自業自得”の歴史

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妻を“襲う”夫婦生活、そして不倫も

 そんなもめごとがあってから、夫婦生活はめっきり遠のいた。年に1、2度、夫婦であることを確認するかのような性交渉があるだけだった。しかも酔って帰ってきた勇太郎さんが妻を“襲う”という図式だったから、妻としてもまさに「お務め」としか思っていなかっただろう。

「でも夫婦仲がひどく悪かったとも思えないんですよ。娘が小さいころは、なるべく時間をとろうと思っていたし、実際、よく3人で出かけました。娘がやりたいと言った習い事は何でもさせた」

 一方で多忙な時間の合間を縫うように「恋もした」と彼は言う。軽い恋もあったし、家庭を崩壊させてもいいと思うような恋もあった。それでも結局、家庭を捨てることはなかった。それが家族への愛であり責任であると思っていたからと彼は正論を主張する。

「罪悪感はあったけど、人を好きになる気持ちは止められない。家族への愛や責任と、恋する気持ちはまったく別のものでしょ。結婚したら恋をしちゃいけないなんて、おかしいとさえ思っていました。ただ、妻に知られないようにするのは当然のことだから、徹底的に隠し通しました」

 仕事に恋にとエネルギッシュに生きていた、当時としては典型的な日本の「ちょっと優秀なサラリーマン」だったのだろう。

 このまま定年まで走り続けるだろうと本人も思っていたのだが、40代に入ってからさまざまなことが起こっていった。

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 【記事後編】では、まだまだ続く“家庭の歴史”をご紹介するとともに、離婚を切り出された後の勇太郎さんの行動を紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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