国語教師をあきらめた教育実習での出来事とは? 「中島みゆき」デビュー50周年で振り返る“歌姫の秘話”

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スポーツ紙記者に、労わりの手紙!

 1983年1月31日の毎日新聞(全国版・朝刊)に、こうある。

〈人気過熱 中島みゆきコンサート 予約電話集中、交換機パンク〉

 仙台でのライブのチケット予約に電話が殺到し、交換機能が停止したというニュースだが、デビュー8年目の時点でこれほどの人気者ゆえ、後年になると、その名を騙る事件も多々あった。

 例えば2008年11月には、「中島みゆきの夫」を名乗る71歳の男が寸借詐欺で逮捕。建築会社に「中島みゆきの家を新築したい」と持ち掛け、帰省のための交通費を騙し取ったという(余罪多数)。「私生活が余り知られてない有名人」というのが、名乗るポイントの一つだったとか。2015年3月1日には、中島の母校である帯広柏葉高校の卒業式で、前日FAXで届いたという中島からのメッセージが読まれたが、3日後に、本人発のものでないことが事務所の指摘で発覚。悪質なイタズラだったのだ。

 一方で、面識はないながら、中島から直筆の手紙をもらったという羨ましい男性も。それが日刊スポーツで現在デスクを務めるH氏。H氏は現場記者時代、数々の破天荒な企画に自身が挑戦するという欄を持っていた。北海道・屈斜路湖沿いの野天風呂に白鳥相手に入浴したり、有人島では日本最南端となる波照間島でヤギとたわむれたりするなどなど。そのH氏が2003年1月に挑んだのが、中島みゆきにあやかり、黒部ダムまで登り、「地上の星」をまめカラで熱唱するというプランだったのだ。
 
 ところが冬期の黒部ダムへのルートは通行止め。そこで、奥にある高瀬ダムにルートを変更するも、ここも積雪で山道は車両通行止めで、H氏は歩くことに。道中、見かけたサルに凄まれ、写真を撮ろうとしたカモシカには逃げられ、降雪もあり、地吹雪がうなる中、H氏は息も絶え絶えに。高瀬ダムの頂上付近にたどり着くと、豪雪の中、「地上の星」を熱唱。ところが歌詞が出てこず、代わりに某アイドルの曲を口ずさむという、そんな顛末であった。

 この模様は、H氏が雪に横たわり、まめカラを片手にしている証拠写真(タイマー撮影)とともに、2003年2月9日付けの日刊スポーツに掲載。実はH氏は、筆者が在籍していた早稲田大学プロレス研究会「ファイター」の先輩であり、後輩としてはクスクス笑いながら楽しく読んだのだが、6日後の2月15日、同紙面に驚きの情報が載った。なんと、中島みゆき本人から、直筆の礼状が届いたのである。

 犬の絵が印刷された官製ハガキに、直筆で、以下の言葉が書かれていた。

〈ありがとうございました。さぞかしお寒かったことでしょう。なにとぞ御身御大切になさって下さいませ〉(裏の宛名面、差出人欄に「中島みゆき」)

 H氏は、「怒られるかとも思っていた。おふざけも入っている記事だから」と述懐。「ユーモアもわかって頂ける、温かくて広い心に、とても感動しました」と振り返っている。

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