認知症と告げられても「お前を食べさせる」と妻に訴え… 橋幸夫さんが“僕はボケない”と実践していた予防法と、母親の凄絶介護体験
「橋さんがやっていた予防法は無駄ではなかった」
新潟大学名誉教授で、予防医療学が専門の岡田正彦氏によれば、
「橋さんがやっていた日々の予防法は、絶対ではないものの、決して無駄ではありません。アメリカで行われた数千人を対象とした大規模な調査研究によると、野菜や豆類、魚や果物を日常的に多く取っている人は、圧倒的に認知症になりにくいというデータがあります。併せて、動物性脂肪より植物性脂肪を多く取る、お酒を毎日ほどほどに嗜む習慣を持っている人は、そうでない人より約4割も認知症発症率が低下するとの調査結果も存在します」
アルツハイマー型認知症のうち、遺伝由来は5%程度とされる。食生活をはじめとした生活環境が発症に影響していることが近年、明らかになりつつあるという。
前出の朝田院長が言葉を引き継ぐ。
「残念ながら、橋さんのようにさまざまな予防法を実践したとしても、認知症は100%防げるものではありません。加齢とともに発症率は増え、60歳では100人に1人、90歳を超えると3人に2人の割合で発症します。認知症になるのは平均すると70歳前後であることを考えれば、橋さんは比較的晩年に発症したといえるでしょう」
母と同じ病に斃れてなお、あの歌声は永遠だ。
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