妻に隠れて年下女性と「25年」 互いに家庭があっても…「点が線になるから続いた」と55歳夫が語るその真意
【前後編の後編/前編を読む】先輩の恋人への仕打ちがひどすぎる 浮気しまくり、DV…挙句「お前にやるよ」と言われた僕と彼女の奇妙な関係
久保京輔さん(55歳・仮名=以下同)は、年下の沙織さんと25年におよぶ不倫関係にある。もともと沙織さんは京輔さんの高校時代の先輩の恋人だったが、交際中からぞんざいな扱いを受けた挙句に捨てられ、妊娠していた沙織さんは流産してしまう。見かねた京輔さんは自分のアパートに彼女を迎え入れ、3か月ほど「兄妹のような」プラトニックな暮らしを送る。その後、心身を回復した沙織さんはひとり暮らしを始め、1年後には「結婚するの」と京輔さんに報告した。
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【前編を読む】先輩の恋人への仕打ちがひどすぎる 浮気しまくり、DV…挙句「お前にやるよ」と言われた僕と彼女の奇妙な関係
30歳のとき、彼は同じ会社に勤める淳子さんと結婚した。不思議な出会いがあったのだという。
「会社は同じなんですが、彼女とは部署も違うしほとんど知らなかったんです。ただ、社内に絵を描く社員たちの自発的サークルがありまして、その発表会みたいなのが会議室でおこなわれた。僕はある絵に釘付けになりました」
少女が川のほとりに立っている絵だった。その少女の表情が、京輔さんの妹に酷似していたのだという。その絵を描いたのが淳子さんだった。
京輔さんの哀しい過去
「実は悲しいできごとがありまして。僕は3人きょうだいの長男で、2歳違いの弟、7歳違いの妹がいました。妹は身体が弱かったせいか、引っ込み思案なところがあって友だちも多くなかったから、家族一丸となって妹を大事にしていました。でも10歳になったころ、家の近くの川で溺れて亡くなったんです。妹は絵がうまくてね、スケッチブックを持って、大好きなその川のほとりにしゃがみ込んで描いていたものです。小さな穏やかな川だから、誰も水の事故があるなんて思ってもいなかった。だけどその日は一時的に雷雨があったみたいなんです。夕方になっても妹が帰ってこないから僕が川を見に行ったけど、いつもの場所にいなかった。だけど妹の衣服らしい布きれが石にひっかかっていた。そこから大騒ぎになって……」
妹は下流で見つかった。スケッチブックは見つからなかった。高校生だった彼は、自分が妹を守ってやれなかったと嘆いたが、それは両親も弟も同じ気持ちだったようだ。そこから家族はギクシャクしはじめた。本来なら、妹のためにもまとまらなければいけなかったのに、数年後、両親は離婚した。すでに大学生になっていた京輔さんと、別の大学に通っていた弟は、親の離婚を阻止することはできなかった。また、そのつもりもなかった。
「だから家庭をもつのは怖かった。でも淳子と出会って、この人とならと思ったんです。どうして淳子が描いた少女が妹に似ていたのかはわからない。僕の単なる思い込みかもしれない。強烈にプッシュして、淳子とつきあい始め、半年足らずで妊娠したと聞いて、すぐに婚姻届を出しました。彼女を守らなければと思った。紗織のことも思い出しましたよ。先輩と同じように非情なことをしてはならないと」
淳子さんは“ごく普通の”女性だった。彼の話にきちんと耳を傾け、自分の意見もさらりと言った。人として信頼できると彼は感じていた。
「淳子はとにかく、いい人なんです。僕が仕事で嫌なことがあって愚痴っても、ちゃんと聞いてくれて最後は『大丈夫。京輔さんならできるってば』と背中をポンポン押してくれる。つわりがひどいときは『ごめん、私、今日は無理。冷蔵庫にあるもので食べてくれる?』と素直に言える人。無理してがんばったり虚勢を張ったりしないんです。だから家庭はいつも風通しがよくてうまくいっていた」
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