妻に隠れて年下女性と「25年」 互いに家庭があっても…「点が線になるから続いた」と55歳夫が語るその真意
現在の2人の家庭は
だが相性がよければそうはいかない。そんなことは大人だからわかっていた。ただ、不倫には始めるときの「言い訳」が必要なのかもしれない。
「そしてそこから25年ですよ」
彼はしみじみとそう言った。淳子さんとの間には3人の子どもたちに恵まれた。上のふたりは20歳を越えている。紗織さんは結局、子どもには恵まれなかったが、夫との関係は良好そのもので、それぞれ仕事をしながら休日は夫婦で趣味のテニスをしたり、夫の両親とドライブに出かけたりしているという。
「でもお互いに、家庭の中の自分とふたりきりで会っているときの自分は違うという認識がある。どちらも本当の自分です。僕も、妻の両親は大事に思っているし、ものすごく恩義も感じている。ふたりを見捨てるようなことはしません。父親としてはダメなオヤジだと思うけど、子どもたちのことは今でも命に代えても守りたいと思ってる。そしてそんな家庭を一緒に築いてきてくれた妻には、まったく頭が上がらない。それでも、それとは別に紗織との関係は重要なんです。僕が、完全に素のままでいられるのは紗織と一緒にいるときだけのような気がします」
関係が続いた「意外な理由」
もうひとつ、彼はここまで紗織さんとの関係が続いてしまった「意外な理由」を言った。
「やはり日常生活ではないからでしょう。家庭生活は1本の線なんですが、彼女との関係はあくまでも点でしかない。この日に会って、2週間後に会うと、点がふたつ並ぶだけ。だけど関係が10年たったとき、点は線を作るよねという話になった。しかもお互いの家庭についても話したりするから、相手のいろいろな面を知っているのは紗織との関係なのかもしれない。妻は紗織と一緒にいるときの僕なんか知らないわけだし。でも家庭にいる僕を、紗織は想像できるし、家庭での会話も知っている。一緒にいる時間は少ないけど、その分、濃密なのかもしれません」
どちらがいいとか悪いという問題ではないけれどと京輔さんは言った。ただ、どちらもパートナーに不倫を知られていないのは稀有なことと言わざるを得ない。
「疑われないためにしたことは特にないんですよ。家庭を最優先はさせた。特に僕には子どもがいるから、子どもが小さいときは、急に熱を出したとかケガをしたとかで、紗織とのデートをドタキャンしたこともありました。だけど紗織は文句を言わなかった。続けていくことを重視したわけではなく、お互いの事情を重視しあった結果だと思う」
この先どうするのか
不倫関係だっていろいろありましたよと彼は言う。ただ、別れ話が出たことはない。どちらも別れたいと思ったことがないからだ。法律に縛られるわけでもなく、しがらみがあるわけでもない関係だからこそ、まっすぐに相手だけを見つめ、自分の気持ちに忠実に生きてきた。
「それでも家族を裏切っていると他人は見るでしょうね。僕たちは誰にもこの関係を話していない。紗織も昔からの親友にさえ言っていない。あとは携帯電話の管理だけはきちんとしないといけないのかも。ただ、僕の妻も、彼女の夫も、黙って人の携帯を見るような人間ではなかった。それも大きいですね」
この先、ふたりはどうするつもりなのか。どちらかのパートナーが亡くなったらどうするのか。そこまでは考えていないと京輔さんは言った。
「関係が始まったとき、始まれば終わりが見えると僕は言いました。でも、僕らは始めたけど、終わらせない。25年かけた覚悟がその一言です。終わらせない」
たとえ夫婦であっても、先が見えない関係という意味では同じなのかもしれない。ここまで来たら、死がふたりを分かつまでがんばってほしいと思わず心の中で願ってしまった。
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京輔さんと紗織さんが出会い、不思議な縁を経て「25年不倫」へと至るまで――その始まりは【記事前編】で詳しく紹介している。
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