アインシュタイン稲田に濡れ衣を着せた“犯人”は誰か 暴露系アカウントが「被害者の受け皿」になってしまった恐ろしさ
昨年7月、芸人のアインシュタイン・稲田直樹(40)が、SNSで番組企画を装って一般女性に不適切な画像を要求するDMを送ったと騒動になった問題。今月、稲田のSNSに不正ログインしていた犯人が逮捕され、稲田の「無実」が証明されたが、ライターの冨士海ネコ氏は、この騒動に「オールドメディアの衰退」と「SNS空間が告発・検証・炎上の舞台となる現代の構造」を見たという。
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【写真を見る】「粗品、謝れ」「疑っていました」 大量のコメントが集まった稲田の投稿
お笑いコンビ・アインシュタインの稲田直樹さんが、番組の企画といって性的な画像を女性に要求。こう聞いた時、「またか」という思いを抱いた人は少なくなかったのではないか。それだけ当時の芸能界は不倫などのスキャンダルが多く、人気者と呼ばれるタレントが次々に失脚へと追い込まれていた。稲田さん本人はすぐに否定し乗っ取り被害を訴えたが、「見苦しい言い訳」という論調に傾いていたように思える。従来なら警察や事務所を通じて処理されるべき案件が、まず配信者やSNS空間で検証・拡散され、世論を揺さぶる事態へと発展してしまっていた。ここに「オールドメディアの衰退とSNSの刃(やいば)」という構図が鮮明に浮かび上がる。
稲田さんを巡る炎上が加速した背景には、「性的なスキャンダルほど、まずSNSや配信者に持ち込む」という社会的な習慣が定着しつつあるからだ。この傾向の根底には、従来のメディアや司法機関に「自分の声が届かない」という不信感がある。匿名性や即時性の高いSNSは、被害を受けた側にとって「最初の受け皿」として機能してしまっている。
例えば松本人志さんのスキャンダルも、週刊誌の記事化を追う形で、元グラビアアイドルの女性が暴露系インフルエンサー・滝川ガレソ氏の投稿にリプライをしたことで大きな注目を集めた。フワちゃんによるやす子さんに対する舌禍事件も、炎上の震源地となったのはSNS上での拡散だった。もはや「人気者ほど裏の顔を隠しているのではないか」という疑心暗鬼が前提となり、ささいな情報でも燃え広がりやすい土壌ができている。
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