障害者施設のスタッフが「大切なご家族を入所させる施設は、自宅から少し距離があったほうがいい」と語る深い理由

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入所の際に知っておいてほしいこと

 職員による虐待が報じられることに対して、現場からは「世間に知っておいてほしいこと」として、こんな声が聞こえてくる。

「福祉施設において、職員による虐待のニュースが続いているが、ほとんどの現場は非常に明るく皆さん仲がいいです。世間には、一部で起きた事件を全体イメージとして捉えないで頂きたいです」

 また、ある障害者施設からは「僕たちに任せてほしい」いう声が印象的だった。

「入所型の障害者施設の場合、ご家族は心配して近くの施設に預けたいと思うかもしれないが、少し距離があったほうがいい。『これだけ近いのに会いに行かない自分』に罪悪感を抱いてしまい、お互いのQOLが下がってしまう。大切なご家族は僕たちにドンと任せてほしい」

橋本愛喜(はしもと・あいき)
フリーライター。元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許を取得後、トラックで200社以上のモノづくりの現場を訪問。ブルーカラーの労働問題、災害対策、文化差異、ジェンダー、差別などに関する社会問題を中心に執筆中。各メディア出演や全国での講演活動も行う。著書に『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書)、『やさぐれトラックドライバーの一本道迷路 現場知らずのルールに振り回され今日も荷物を運びます』(KADOKAWA)

デイリー新潮編集部

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