「曲は暑いほうができる」…クレイジーケンバンド「横山剣」が創作の秘密を語る
夏の曲は夏のうちに
なすがまま生きるクラゲが哲学的、刹那的に歌われる「くらげ」。CKBで、クラゲは夏の終わりを表す季語として使われている。
「『タイガー&ドラゴン』も『Percolation』も歌詞にクラゲが出てきます。クラゲの酢の物が大好きでね。子どものころの僕のクラゲの思い出は母親と鎌倉は長谷寺周辺の中華レストランへ行ったときのことです。母親が焼きそば、僕がクラゲを注文しました。焼きそばは180円。クラゲは1000円。子どもながらにショックを受けましたよ。思いもよらず贅沢をしてしまった。中國貿易公司という会社で働いていたころには、よくクラゲを運んでいました。重くてきつかった。僕はクラゲには特別な思いがあるんです」
夏ばかりに曲が生まれると困ることもある。アルバムが夏の曲ばかりになる。実際、CKBの歌詞の舞台は圧倒的に夏が多い。
「夏につくった曲をレコーディングすると、CDが完成してお店で売られるのは秋です。季節外れのアルバムになってしまう。だから今は配信をうまく利用しています。夏にできた夏の曲は、夏のうちに先行配信する。
『Summertime*411』を7月にデジタル配信したのもその考えからです。配信はCDよりも早く世に出せますから。この曲はずっと共同制作しているクリエイター、Park君が用意したデモ音源に、僕のメロディと歌詞を乗せて、4分11秒に夏をギュッと閉じ込めた。それがタイトルの由来です」
曲は暑いほうが生まれる
地球全体で温暖化が進み、日本の夏も長くなった。それはCKBにとっては好都合らしい。
「夏の長期化とともに、曲を量産できるようになりました。今年も酷暑で、体調を崩されているかたにとってはおつらいことでしょう。そういう方々に対してはとても心苦しい。お見舞い申し上げます。ただ、7月生まれだからでしょうか、暑いほうが僕の創作意欲は刺激されるんです」
「加齢」の影響は無いのだろうか。
「メンバーはそれぞれ楽曲様のために健康管理をしているはずです。とくに、ホーンセクションの3人は体力を維持するためにすごく努力しています。管楽器は呼吸器と直結しているから、体力の衰えがすぐに音に表れるんですよ。トロンボーンのWAKABAさん(河合わかば)は僕と同年齢ですが、ツアー先の空港から会場までよく歩いています。移動するバスを途中下車して歩くこともあります。心肺機能が衰えないようにね。
僕はというと――、ジムに通ってますが、最近少しさぼりがちなので、反省しているところです。パーソナルトレーナーから自主的にトレーニングするジムに替えたのがいけませんでした。パーソナルのほうに戻ろうと思っています。ちょっと間隔があくと気まずくて、行きづらくなるんですが、そこは勇気をもってね」
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