「曲は暑いほうができる」…クレイジーケンバンド「横山剣」が創作の秘密を語る
第1回【「メンバーとの年俸交渉もあります」…結成28年、クレイジーケンバンドが今も新作を出し続けられる理由】を読む
この9月、通算25枚目となる新作アルバム『華麗』をリリースしたクレイジーケンバンド(CKB)。そのヴォーカルで、ほとんどの曲を作っているのはリーダーの横山剣(65)だ。第1回でお伝えした通り、タイトルの“華麗”は“加齢”のダブルミーニング。もっとも、毎年新作を出しているというのだから、老け込んでいるヒマはない……というところではないだろうか。ロングインタビュー第2回では、新作について存分に語ってもらうこととしよう。【全2回の第2回:取材・文/神舘和典】
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【写真】粋と遊び心あふれるスタイルも魅力的…相変わらず男前の65歳・横山剣
自分のドライブミュージックに
9月のアルバムリリースに先立って、7月に配信された曲「Summertime*411」のサウンドは洗練されたAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック。洗練された大人のロックのジャンル)のようだ。そこに色気のある歌声が乗り、小気味よいギターのカッティングと、野太いベースも歌い、力強いサウンドになっている。ともすれば見逃されがちだが、バンドの演奏力は極めて高い。
「この夏のドライブにはこのアルバムの曲ばかりかけていた」という横山の言葉に説得力を持たせる一曲だ。
「夏が近づくと、音が湧いてくるんです。僕は日本のじめじめした夏が大好き。湿度が上がると体調もよくなって楽曲が生まれます。毎年初夏から8月いっぱいが僕の絶頂期です。脳内でご機嫌な音楽が生まれて、鳴りやみません」
この時期にできた曲が「Summertime*411」以外に「不良先生」「くらげ」……など。夏は無双状態で、自分を取り巻くあらゆるものが音楽になる。ラテンテイストの曲「不良先生」に登場するのは、プレイボーイ風の医者。モデルは横山の友人だという。
「はぶりが良くて、センスも良くて、音楽好きで、無類のカーマニアで、車庫にはフェラーリをはじめ複数の高級車が停めてあります。女性にもモテているはず。うらやましい! その先生をモチーフに曲を書きました。『華麗』のジャケット写真も『不良先生』のイメージです」
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