中国人の“闇薬局”で合成麻薬「フェンタニル」が9000円で買える恐怖 トー横では「クラミジアの薬」を共同購入するグループも
フェンタニルについて尋ねると「9000円」という答えが
そこでTから闇薬局のSNSのアカウント名を聞き出し、中国人を装ってメッセージを送ってみた。
するとすぐに、「何を探していますか?」という返信があった。そこで「がん患者が使う鎮痛剤はありますか?」と尋ねたところ、「トラマドールがある。送料込みで1万4000円」という返信があった。
トラマドールは劇薬指定されているオピオイド鎮痛薬だ。日本では麻薬にこそ分類されていないものの、乱用すれば多幸感や酩酊感が得られるとされ、海外では「オピオイド・クライシス」の元凶の一つに数えられる医薬品だ。
さらに筆者が「フェンタニル」についても尋ねてみたところ、「9000円」という答えが返ってきた。
フェンタニルを含む合成オピオイドの過剰摂取による米国での死亡者は2024年に約4万8000人に上り、中国から米国などへの密輸が深刻化している正規の医療用ではない“闇フェンタニル”を巡る問題は、「現代版アヘン戦争」とも呼ばれる国際紛争の大きな種となっている。日本も密輸の中継地点として利用されている疑いが浮上し、国会議員らもフェンタニル問題に言及する事態となった。筆者が接触した闇薬局が販売可能としたのは、パッチにフェンタニルの成分が含まれた外用貼付剤だが、乱用を問題視する論文がNIH(米国立衛生研究所)のデータベースにも掲載されている危険なシロモノだ。
「法的に問題はないのか?」
こちらがそう問いかけたのを機に、先方からは一切の返信がなくなった……。
狙われる調剤薬局
「薬局であっても、処方箋薬を医師の処方箋なしに販売することは理由のいかんを問わず禁止されており、薬機法違反。ましてや麻薬指定されているフェンタニルや向精神薬の類いは、売った側も買った側も麻薬及び向精神薬取締法に問われます」
医療ジャーナリストの村上和巳氏はそう指摘する。
ただ、中国のSNSで「日本 薬店」などのキーワードで検索すると、処方箋薬のオンライン販売をうたう投稿がいくつもヒットする。さらにそれらの一部には、調剤薬局の内部と思われる写真や段ボールに入った大量の医薬品などの写真がアップされており、実際に店舗を構えていることもうかがえる。
また、それらに交じって表示されるのが、「日本で薬局を経営する方法」や「日本で薬局を買いませんか」といった投稿だ。その手の投稿は、「#永住権」や「#経営管理ビザ」といったタグが添えられているものも多い。
「調剤薬局の経営は、中国人の日本移住の手段の一つとなっている」
そう明かすのは、中国人移住ブローカーのX氏だ。
「日本では大手の参入に伴う競争激化などにより、小規模経営の調剤薬局の倒産や閉業が相次いでいるが、そこに目をつけ、立ち行かなくなった調剤薬局の経営権を安値で買収して、経営管理ビザを取得する中国人移住者が増えている。場所や規模にもよりますが、500万~1000万円ほど出せば、都内でも調剤薬局の経営者になることが可能です。調剤薬局自体は赤字でも、中国人経営者であれば、在日中国人社会や中国国内に横流しすることで補填できる。医療機関の経営は社会的信用も高く、永住や帰化もスムーズに行えます」
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