「日米のドクターの腕の差なのかな」 元巨人・クロマティが難病との闘いを告白 「車イス姿は見られたくないけど、希望を与えられたら」
陽気に風船ガムを膨らませているかと思えば、デッドボールに激怒して投手に殴りかかる。1980年代のプロ野球界を盛り上げた巨人軍“最強の助っ人”ウォーレン・クロマティ(71)。長らく車いす生活を余儀なくされている彼が、闘病の日々を語る。
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【写真を見る】車イス生活を送る現在のクロマティ 相手投手に右ストレートをお見舞いした、血気盛んな現役時代のワンシーンも
昨年7月に東京ドームで行われた、プロ野球・巨人と阪神のOBによる伝統の一戦。王貞治や掛布雅之といった両チームのレジェンドが居並ぶ中に、ひときわ目を引かずにはいなかったのが、車いす姿で登場したクロマティだった。
クロマティといえば、メジャーリーグのレギュラーとして長く活躍したのち、1984年に巨人に入団。翌85年から5年連続打率3割、89年には.378の高打率で首位打者となりMVPも受賞した「最強助っ人」である。現役引退後もたびたび来日し、古巣・巨人のアドバイザーなども務めていた。
当初は健康状態について多くを語らなかった彼。が、昨年末、自身のユーチューブチャンネルで「脊柱管狭窄症」の治療に励んでいると公表し、エネルギッシュな現役時代を知る往年のファンを驚かせたのだった。
「おしっこに行きたいということも分からない」
「病気になって、ボクはガマンするということを学んだよ。特に現役の頃、バッターとしては短気ですぐ乱闘していたからね」
そう笑うクロマティの体調に異変が生じたのは、4年前のこと。
「2021年のクリスマス、アメリカ・フロリダに滞在していたときに突然、脚に力が入らなくなってしまったんだよ。腰もどんどん腫れてね。日を追うごとに症状は悪化して、年が明けて間もなく歩けなくなってしまったんだよ。立ち上がっては転んでしまうこともあった。おまけに、自分の膀胱の感覚もない。トイレに行きたい、おしっこに行きたいということも分からなかったね。そこで、まずリモートでドクターに診察してもらうと、“ギランバレー症候群”の可能性があるから、すぐに検査を受けた方がいいとアドバイスされたんだ」
ドクターの言いつけに従い、病院で脊椎から髄液を抽出して検査したところ、正式にギランバレー症候群との診断が下った。
「脚に力が入らなくなるのは、ギランバレーの典型的な症状なんだ。主に感染症が原因で罹患してしまう病気なんだけど、ボクがどうしてこの病気に冒されたのかは分からない。ちょうど新型コロナウイルスに感染した後だった。それが関係しているのかどうかも分からないね」
治療に専念するため、さっそく入院することに。
「ギランバレーを治すために点滴の治療を受けていたんだけど、もうすぐ退院というタイミングで、ドクターがほかにも問題を見つけてくれた。“脊髄の神経を圧迫しているものがある”とね。胸椎といって、背骨の腰より少し上の部分で“脊柱管狭窄症が起きている”と言われたんだ」
つまりギランバレー症候群だけでなく、同時に脊柱管狭窄症にも見舞われてしまったのである。
ギランバレーは点滴治療でまもなく完治したものの、今に至るまで彼を苦しめているのが、脊柱管狭窄症なのだった。
そもそも、これはいかなる病なのだろうか。
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