3年で100倍超に 東京で「防災対応マンション」登録数が急増でも「手放しで喜べない」理由とは
爆発的な伸びをみせる「とどまるマンション」登録数
その急増のほどはデータを見れば一目瞭然である。
旧制度で11年間6件だった登録数が、制度改正後は2023年度に218件、2024年度に399件。2025年度も5月末時点ですでに28件となっている(次図を参照)。
これほど劇的な変化は、名称変更だけでは説明できない。実は理由は別にあるのだが、それは記事の後半で解説する。
次に、都内の自治体別/評価別での分布を見てみよう。
「東京とどまるマンション」は星1~星3の三段階評価となっている。
☆:ソフト対策のみ、またはハード対策(非常用電源3日未満)
☆☆:ハード対策(3日以上)またはソフト+ハード(3日未満)
☆☆☆:ハード対策(3日以上)+ソフト対策
上記を踏まえて登録マンションの評価別/自治体別の分布を見ると、いくつかの特徴が浮かび上がってくる(次図を参照)。
最多は世田谷区の60件。しかし星3はゼロだ。一方の江東区の登録数は58件だが、そのうち13件が星3で、23区の中では最も“三つ星”が多い。
都心3区(千代田・中央・港)はいずれも高評価比率が高く、品川区も健闘している。立地の差というより、防災意識の差が表れているのだろうか。
2000年以前のマンションは星1評価がほとんど
さらに登録時期ではなく、「竣工時期」で分析すると違った面が見えてくる。
竣工時期を横軸、階数を縦軸、総戸数を円の大きさで、さらに☆評価が分かるよう3色に分けてグラフを描いてみた(次図を参照)。
小規模なマンションは竣工時期に関わらず広く分布。20階建てを超える大規模なマンションは、2000年代以降に多い。また、防災力の高い星3評価は、2000年以降に多いことも分かる。
逆に言えば、1990年代以前に竣工したマンションは、その大半が星1評価ということだ。なぜ、1990年代以前の古いマンションは星1評価どまりなのか。理由は単純で、古い物件ほど設備更新に限界があるからである。
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