28歳で結婚→2年で離婚、32歳で再婚→3年後にまた離婚…「女が嫌い」とやっと気づいた42歳夫の人格はどう形成されたか

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「死んでやるからね」が現実に

 それから1年もたたずに母は本当に死んでしまった。「死んでやるからね」が現実になったのだ。

「自殺か不慮の事故かは結局、わからなかったんですが、最終的には事故として処理されたようです。僕に生命保険のお金が入ってきた。あの母が保険をかけていたなんてちょっとびっくりしました。しかも母は保険証書を叔父ではなく、遠く離れたところに住む唯一の親友に預けていたんです。その人から連絡をもらって会ったんですが、『彼女にはあなたが自慢の息子だったのよ』と言われてさらに面食らいました。僕は母に愛されているなんて思っていなかったし、愛されたいと思ったこともなかった。封印していた感情の堰が一気に崩壊して、母への恨みつらみが噴き出しました」

そして迷走がはじまった

 そんな下地があっての20代。彼は迷走し続けたという。今さら非行に走るわけにもいかず、その歪んだ気持ちは結局、女性との対応に表れた。

「好きでもないのに、口説いてつきあってすぐ別れるを繰り返していました。どうせ相手だって僕のことが好きなわけではないだろうと思い込んでいたし、そもそも人を好きになることがよくわからなかった」

 就職したが、仕事がつまらなくなって1年で辞めた。ちょうど大学時代の先輩が起業を考えていると連絡をくれたので誘いに乗って、共同代表としてIT関係の会社を設立。これが地道な営業のかいあって、2年もたたないうちに軌道に乗った。そのころパートで働いてくれたのが同い年の紗絵さんだ。ともに仕事をしているうちに親しくなったが、さすがに同僚を口説く気にはなれなかった。

「でも紗絵のほうから誘ってきて……。彼女、結婚したばかりだったのに夫の愚痴ばかりこぼしていた。そんなに嫌なら離婚すればいいのにと淡々と言ったら、『あなたっておかしな人ね。普通はもっと慰めてくれるものだけど』と笑い出して。結局、誘いに乗ってしまったんですが、半年もたたずに夫にバレて……。でも夫は『今後はオレが変わる。だから戻ってきてくれ』と土下座したんですって。結局、夫婦仲を修正するスパイスにされただけだった」

 紗絵さんはパートを辞め、「またね」と去っていった。あっけらかんとしたものだったから、彼はますます女性のことがわからなくなったという。

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