中国圧勝の「ドローン」開発、そして「サイバー攻撃」への対応は…浜田靖一・衆院議運委員長に聞く「日本の防衛政策の課題」
憲法改正による軍事裁判所設置
――自衛隊の在り方を考え直すとは。
武力ではなく、対話によって問題を解決するというわが国の基本姿勢は、国民の皆様方には理解していただいていると思う。しかし、日本が戦いを望まなくても、それを理解せずに、国境を越えて日本に侵攻してくる国が出てくる可能性がある。
そのためには、やはり防衛のために戦うことは否定できない。わが国の国益と尊厳を守るためには、やむを得ず戦わざるを得ない場合があるということだ。そのための備えはしておかなければならない。
武器といった防衛装備など、お金を出せば買えるもので備えることはできる。しかし、われわれの気持ちを代弁して戦ってくれる自衛隊の立ち位置をもっと明確にすることが求められる。これは、守るための戦いにおいて、必要不可欠なことだ。
――具体的には、どのようなことが求められるのか。
やはり憲法改正は必要なことだと思う。それは、実際の防衛力に関する条項だけではない。一般の裁判所ではなく、やはり軍事裁判所を持てるように憲法を改正しなければならない。日本国憲法第76条の「特別裁判所の禁止」規定により、現行では軍事裁判所を設置できない。軍事裁判所は一般的に、通常の刑法ではなく特別刑法に基づき、主に非公開による審理で現役の軍人を裁くものだ。自衛官の皆さんが己を厳しく律するため、民間ではない裁判を行うことができる体制をつくることは重要だ。
中国、ロシア、北朝鮮…
――日本を取り巻く安全保障環境は厳しい。
中国、ロシア、北朝鮮といった独裁的な力を持った国々が台頭してきたのは、非常に悩ましいところだ。しかも、われわれの国と大変近いところに存在している。中国は、非常に大きな力を持っており、世界のさまざまな場所で圧迫を加えている。北朝鮮は、現時点では日本にミサイルがあまり飛んできていないが、私が2度目の防衛相だった頃には50発以上のミサイルが飛来する状況であった。ロシアは国連安全保障理事会常任理事国であるにもかかわらず、ウクライナに侵攻しており、これは通常の状況ではないことは間違いない。
――どのように対応すべきか。
決して軍事で対抗するということではなくて、やはり話し合いを持って和らげていくということが基本だ。また、一つの枠組みをつくらなければならないと思っている。東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々との関係を含め、戦いではなく、お互いの仲間うちでしっかり対話しながらブレーキを掛けていく取り組みが重要になってくる。
また、やはり台湾との関係というのは非常に重要だ。台湾海峡の問題も含め、わが国にとって大きな影響を与える地域でもある。貿易立国の日本として、その地域の平和と安定というのは絶対的に必要な条件となる。しっかりとしたチャンネルをつくり、対話を重ねることができるような体制構築が不可欠だ。
【後編】では、トランプ政権下の米国との関係をどのように築くべきか、持論を展開している。
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