中国圧勝の「ドローン」開発、そして「サイバー攻撃」への対応は…浜田靖一・衆院議運委員長に聞く「日本の防衛政策の課題」
軍事と民生のデュアルユース
――防衛装備に関する課題について。
ミサイル、迎撃能力などは態勢構築を順次進めてきた。サイバー防衛についても、先の通常国会で「能動的サイバー防御関連法」が成立した。現在、ドローンは、開発において中国が圧倒的にリードしている。戦争状態にあるロシアとウクライナの間では使用がかなり増えている。ウクライナもかなりの数を導入している。
これに対し、日本が遅れを取っているのは否めない。精力的に開発を進める必要がある。比較的安価で多くの台数を製造できるため、費用対効果がいいという特徴がある。
防衛予算は増えており、ドローンにとどまらず、研究分野を新たに広げ、開発に取り組むべきだ。防衛装備は、武器という側面があるが、民生品にデュアルユースできるものが多い。民間とタイアップして研究開発を加速することが求められる。
正々堂々と国益の説明を
――日本の安全保障政策は、歴史的経緯が大きく影響してきた。
日本は常に過去の歴史に基づく中で、争いを解決する手段として武力を使わないと、ずっと言ってきた。しかし、現実の世界では実際にさまざまな紛争が起きている。日本は板挟みになるなどして、乗り越えるのが難しいところがあったのも事実だ。こうしたことを解決するには、やはり、正しい情報を発信していくことが重要になる。そうすると、やはり外交をうまく進めることが必要だという話に行き着く。
日本は米国と同盟関係にある。しかし、米国に対しても、わが国の立場を明確に伝えるため、言うべきことは、はっきり言うべきだ。そして、わが国の国益とはどのようなものであるかを説明していくことが、非常に重要だと思っている。過去、日本は敗戦国として、核兵器の使用を受けた国でもある。その意味で、戦いというものを認めるわけにはいかないというのが、基本的な姿勢だ。
――防衛における日本独自の立場を明確に示すべきだと。
現在、国際社会において、力によって現状を変更させようとする国が台頭してきている。しかし、あくまで武力ではなく、対話によって秩序を取り戻していくことこそが、日本の基本方針だと明確にすることが重要だ。これは、単なるきれいごとではない。あらゆる国に対して、正々堂々と述べていくべきだ。
場合によっては、米国に自制を促すことも必要だと思う。ただ、これと並行して必要なのは、わが国の防衛手段としての、自衛隊の在り方というものを、もう一度しっかりと考え直していくことだ。
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