ローカル路線で深刻化する「とにかく運転士が足りない」問題…人材難で1日18本が運休の非常事態に どうすれば“地方の足”を維持できるか
肥薩おれんじ鉄道は、九州新幹線の開業に合わせて鹿児島本線の八代駅~川内駅間を引き継ぎ、2004年に開業した第三セクター鉄道である。いわゆる「整備新幹線」の整備によって生まれた第三セクター鉄道は、開業以来あの手この手で様々な集客策を打ち出している。肥薩おれんじ鉄道はその先駆的な存在であり、全国的な話題になった取り組みも多い。【取材・文=山内貴範】
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1日18本が減便に
例えば、2013年には観光レストラン列車「おれんじ食堂」の運行を開始し、ユニークなデザインの車両と料理のクオリティが評判となり、鉄道ファンや観光客から好評を博した。ほかにも、老朽化していた阿久根駅の大胆なリニューアルや、映画「かぞくいろ RAILWAYS わたしたちの出発」への撮影協力など、地域に根差しつつ、沿線の魅力を全国に発信する取り組みがたびたび反響を集めた。
ところが、現在、肥薩おれんじ鉄道に大きな問題が起こっている。運転士不足を理由に、8月1日から一部列車が運休するようになったのである。それまで平日51本運行されていた列車のうち、下りが9本、上りが9本、合計18本が運休となった。これは全体の3分の1となり、開業以来最大の減便となる見込みという。
実は、同様の運転士不足による減便は、他の鉄道会社でも検討されているといわれる。既に、バス会社は人手不足が理由の減便を行った例が相次いでおり、地方はもちろん、乗客が多い首都圏でも行われている。地方鉄道はどうあるべきなのか。肥薩おれんじ鉄道の広報担当者に話を聞いた。
本来のダイヤの維持にあと10名必要
――肥薩おれんじ鉄道が運休を決めた理由は。
今年の2月1日にも、一部運休を実施しました。昨年度は退職者が重なって運転士不足になり、十分な運行本数を維持することが難しかったためです。
現在、弊社の運転士は4月1日時点で27名です。本来のダイヤで動かすためには37名必要で、つまり10名が不足しています。定年退職を見越して継続的な採用活動も行ってきたのですが、中堅、若手運転士の予期せぬ退職により、必要数が足りていない状況が続いていました。
それでも、何とか少ない人数でもやりくりしていたのですが、運転士一人にかかる負担も大きくなり、健康面への配慮も必要です。そういった複数の要因が重なり、このたび減便に至った次第です。お客様に負担をかけてしまうため、当社としては難しい判断だったのですが、安全輸送のためにご理解をいただければ……と思っております。
――今回の一部運休は、期間限定で行われるものなのか。
当面の間続く見込みです。運転士の数が確保できれば、すぐにでも本数を増やしたいのですが、ある程度の人数が揃わない限りは難しいのが現状です。今後、ダイヤを元に戻せるかどうかは、人数確保の状況次第となります。
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