【べらぼう】失脚して城まで徹底的に破壊された田沼意次 一方、松平定信の城がたどった運命は
意次を刺し殺そうとしていた定信
田沼意次（渡辺謙）に全面的な信頼を寄せ、ずっと支えてきた10代将軍徳川家治（眞島秀和）が、急病に見舞われ、あっという間にこと切れた。NHK大河ドラマ『べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～』の第31回「我が名は天」（8月17日放送）。
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こうして最大の後ろ盾を失うと、意次にはもう命脈がなかった。第32回「新之助の義」（8月24日放送）で、意次は老中を辞職させられる。そのうえ御三家や御三卿、松平定信らの意見によって、神田橋の上屋敷も、老中になってから加増された2万石も没収される。
意次が老中を辞職したのは、天明6年（1786）8月27日で、屋敷や2万石の没収は同年閏10月。続いて、翌天明7年（1787）6月19日には、反田沼の立場が鮮明な松平定信（井上祐貴）が老中になり、江戸三大改革のひとつといわれる「寛政の改革」に取り組むことになる。
8代将軍徳川吉宗が、将軍の血が途絶えないようにと、自分の子や孫を家祖にしてつくった田安家、一橋家、清水家の御三卿。定信はその筆頭の田安家に生まれ、聡明で将軍候補にも擬せられながら、現在の福島県白河市を中心とした奥州白河藩松平家を継がざるをえなくなった。定信は、自分を白河藩に追いやった張本人として、ずっと意次を恨んできた。老中になる前に将軍に出した上申書には、懐剣を忍ばせ、機会があれば意次を刺し殺そうとしていたと、驚くべき告白までしている。
実際、定信の思いは叶って、意次は失脚したばかりか、見るも無残な転落を遂げる。一方、その跡を襲った定信も、6年後の寛政5年（1793）7月23日、『べらぼう』で生田斗真が演じている一橋治済らの策謀で、老中職を追われている。
対照的で、しかも因果がからみ合っている2人。彼らがそれぞれたどった道は、それぞれの居城を見くらべてみるとよく理解できる。
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