「下野しかない」 自民・古川禎久氏が激白 「自民党は“役に立つ道具”ではなくなった」

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自民党は「役立つ道具」ではなくなった

 ところが、自民党はかつての成功体験を引きずったまま、昔のモデルで政策決定してきたのではないか。私自身も自民党の一員なので党の名誉のためにいえば、一生懸命に政策議論をやってきました。しかし、その政策が的に当たらず、ずれてしまっている。そう感じます。

 自民党のために日本国があるわけではないし、国民が生活しているわけでもありません。当たり前の話ですが、政党は国民が安心して生活していけるための道具に過ぎません。昭和の時代、自民党はすごく役に立つ道具だった。しかし時代が変わってそうではなくなっているのでしょう。

 古くなった道具を修理修繕し、再び使えるようになったらそれでいいのだけれど、それもできない。だったら、道具を取り替える以外にない。それを証明したのが、今度の衆参の選挙結果だと私は受け止めています。

保守中道の集結

〈もっとも、下野しても政権を譲り渡す相手がいない。そこで新たな枠組みづくりを模索すべきだというのが、古川の連立政権に対する持論である。〉

 古い自民党丸という船が修繕できないなら、まずはいくつかの筏を連ねて1億2200万人の国民にそこへ緊急避難していただく。もとより筏は急場しのぎなので、できるだけ早く新しい船をつくる必要があります。

 政党はしょせん道具なのだから、新しい船は今の自民党中心の与党でなくてもいい。政権の組み方はさまざまな意見があるでしょうが、私なりにイメージしているのは、保守中道の集結です。極右と極左はちょっと遠慮願いましてね。自公、立民、国民、維新などのうち保守中道で結束してこの国の政治が機能するよう難局を打開しませんか、と呼びかけて筏を組み、その間に新たな船をつくる。それは野合とはまったく異なります。

 内政課題として痛感するのは格差、分断、対立です。政治の不安定化とともにポピュリズムが台頭して排外主義が蔓延(はびこ)り、挙句の果ては戦争に転がり落ちていく。歴史に周期があるとするならば、日本も世界もそこに直面しているのではないでしょうか。保守中道勢力が集結し、分断や対立が起きないよう、政治のかじを切る必要を感じています。

〈古川自身、新しい日本丸づくりのために奔走している。自らが国を率いていく覚悟もあるという。〉

(敬称略)

古川禎久(ふるかわよしひさ)
1965年生まれ。宮崎県出身。東京大学法学部卒業。建設省、衆議院議員政策秘書などを経て、2003年の総選挙で初当選(宮崎3区)。8期目。15年に発足した水月会(石破派)の初代事務総長に就任(後に退会)。法務大臣政務官、財務副大臣などを歴任し、21年に第1次岸田内閣で法務大臣として初入閣。現在、自民党の政治改革本部および財政改革検討本部で本部長代理を務める。

週刊新潮 2025年8月14・21日号掲載

特集「ダメ出しされた自民党に古川禎久元法相が激白 『下野』と『新しい連立相手』」より

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