「下野しかない」 自民・古川禎久氏が激白 「自民党は“役に立つ道具”ではなくなった」

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自公が負けた三つの原因

〈目下、新たな政権運営の枠組みとして、自公に加え、日本維新の会や国民民主党などが連立相手の候補に挙がっている。総裁の首をすげ替えれば、選挙で巻き返し、強い政権をつくることができるという妄想を抱く自民党議員もいる。もっとも古川が目指すのは、その程度の目先の寄せ集めではないという。石破おろしをどう捉えているか。〉

 私なりに選挙を分析すると、自公が負けた原因は大きく三つあると考えています。一つは、いわゆる裏金と呼ばれる政治とカネの問題。政治家だけがズルしてなぜおとがめなしなんだという国民の怒りです。二つ目が物価高。インフレの時代に突入し、生活が苦しく展望が描けない不満に政治不信が重なり、民主政治の背骨が折れてしまいました。そして三つ目は、大きく変わっている時代に政治が追い付いていないという点です。

「機能する国会」が急務

 いわば石破政権は自民党の負の遺産を背負ってスタートしました。ですが、政治とカネ問題にしろ、総裁を引き受けたのは、負の遺産を覚悟の上でしょう。しかし、何も変えられず、改革できなかった。参院選の惨敗はこれまでの負の遺産に加え、石破政権に対するそのいら立ちや失望があったためだと思います。

 そうして自公に対してはバツが出た。石破おろしという権力闘争の結果ではなく、石破さんは総裁としてその責任を負わなければならない。衆議院も参議院も少数与党で、決められない国会になってしまいました。立ち往生して国民に対する国政の責任が全く果たせない状況です。そこを一日も早く脱しないといけません。急務なのは、機能する国会にしなければならないこと。そのために別の器をつくる必要があるのです。それが新しい連立で、最優先の課題でしょう。

かつて自民党政治が機能していた理由

〈だが、そもそも自民党が負の遺産を清算し、時代に応じた新しい政治をつくれるのか。強硬保守タカ派の高市早苗や国民人気の高い選挙向けの小泉進次郎らの総裁候補ばかりが取り沙汰される。古川は今の自民党をどう見ているのか。〉

 失われた何十年という言葉があります。日本は30年前から人口減少すると分かっていて、社会保障が持続可能ではないという話もずっと前からありました。政治がその抜本的な解決策を導き出せないまま、今に至っています。

 人口が増えて経済の成長した右肩上がりの昭和の時代には、自民党政治が機能してきました。業界団体の声を聞き、それを政策に反映させることによってうまくいっていた。国民の気持ちも業界団体の声に近いものがあったので、自民党的な業界団体と一体化した政策決定プロセスがはまった。その時代が変わり、経済成長もほぼ止まった状態です。日本社会は右肩上がりどころか、縮まなければならない局面になっています。

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