日経新聞がスクープ…業界激震の千代田区「マンション転売規制」のウラ側 “3LDK2億円超”市場にメス? 要請を受けた「不動産協会」の困惑とは
吉田理事長が報道陣に「要請は合理的でない」と話した理由
この要請について、不動産協会に取材すると、意外な事実が明らかとなった。
「実は、今回の要請は事前に当協会に対して何の説明もありませんでした。突然のプレスリリースに驚き、千代田区に求めて説明を受けたのが7月24日のことでした」(不動産協会の担当者)
要請が出されてから6日後に、ようやく説明を受けたということになる。
「ただ、その場では十分な説明を受けることができませんでした。改めて確認事項を書面でお知らせし、現在はその回答を待っているところです」(同)
協会が確認を求めているのは、第一にこの要請の「位置付け」にあるという。
「行政機関である千代田区からの要請がどのような法的性格を持っているのかが判然としません。仮に今回の要請が不動産事業者に対する『行政指導』なのであれば、行政手続法に定めるところの『一定の行政目的を実現するため』(行政手続法第2条第6号)が根拠となるはずですが、その『行政目的』が曖昧なのです」(同)
つまり、今回の要請の強制性や具体的な目的、その実施方法について明確な説明が得られていないため、手の打ちようがないというのだ。
加えて、実効性の面でも疑問が残るという。
「今回の要請では特に“転売制限”について、不動産業者と購入者との間の契約において措置することが求められていますが、実際にどうやって実効性を持たせるのかという問題があります。例えば法律や条例に基づく規制であれば刑事罰(罰則)や行政罰(過料)による強制力を持たせることができますが、契約上の義務違反については、訴訟などの民事上の手続きに頼らざるを得ません」(同)
具体的には、契約書上で転売に関するペナルティを規定した上で、それが履行されない場合に民事訴訟という流れが想定されるというが、
「それでは強制力を持ち得ません。また、居住の実態を調べるための立入権限もないため、事実の把握が極めて困難となることが想定されます」(同)
協会の吉田理事長は、今回の要請について報道機関に意見を求められた際、「合理的でない」といささか強めのコメントをしたと報道されているが、その背景にはこのような事情が関係していたのだろう。
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