「職場ダブル不倫」がバレて四者会談…「別れなければ上司に言う」 針の筵でも改心しない40歳夫のホンネ

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妻に電話をすると…

 彼女とは帰りの列車も別にしていたが、駅で急に寂しくなり「同じ列車で帰ろう」と誘った。隣に座り、じっと体を密着させていた。せつなくてたまらなかったと彼は言う。

「自宅近くになってから妻に電話をすると、『どこに行ってたのよ』と金切り声を上げられた。どうしたのと聞くと、『あなたのおとうさんが倒れたのよ、何やってるのよ。どうしてお義母さんからの電話にも出ないの』と。しまったと思いました。気が緩みすぎていた。そのまま母に連絡をとると、『倒れたけどたいしたことはなさそう』ということだった。でも実家に向かいました。2時間近くかかるんですが、このまま自宅に帰るわけにはいかなかった、追求されたらボロが出るとわかっていたし」

 ところが彼が病院に着いて母に連絡をすると、母がとにかくすぐ来てと悲鳴のような声で言った。あわてて走っていった彼が病室で見たのは、すでに息をしていない父の顔だった。その日の早朝、脳出血で倒れたものの意識はあった。病院で治療を受け、念のために入院することになったが、容態が急変したのだという。

「医療ミスじゃないのかと一瞬、思ったけど、穏やかな父の顔を見たらそうは言えなくなった。というか何が起こったのかよくわからなかった。父はまだ60代。健康自慢の人だった。こんなにあっけなく息をしなくなるのか、実は生きているんじゃないかといろいろな思いが頭の中を巡りました」

 バタバタと行ったり来たりして、彼自身も疲れていたのだろう。気づいたら彼自身がベッドに寝かされていた。

「妻と子どもたちがいました。急に意識を失って倒れたようです。母も心配そうに覗き込んでいましたが、目が合ったとき『よかった』と母の目からぽろりと涙がこぼれたのを覚えています」

 通夜に葬式と飛ぶように時間が過ぎていった。その間、芙美香さんからは心を込めた言葉が届いた。「私といたばかりに……ごめんなさい」と謝罪もあった。もちろん芙美香のせいじゃない、父は幸せだったと思うと、両親の仲のよさを夜中の電話で話したこともある。

恭子さんからの「話がある」

 ようやく日常生活が戻りつつあったころ、恭子さんが「話がある」と言った。

「覚悟はしてました。バレたなと。恭子のところに芙美香の夫から連絡があったそうです。『うちの妻とあなたの夫が不倫してますよ。奥さん、気づかなかったんですか』って。どうして私が、あなたの不倫相手の夫にそんなふうに言われなければならないのよと妻は激怒していた。そりゃそうですよね……」

 言い訳をする気にはなれなかった。だが妻が「離婚したいの?」と言ったとき、彼は初めて雷に打たれたように驚いた。離婚など考えてもいなかったからだ。

「いや、離婚はしない。娘たちと離れたくない。家庭は大事にしてきたつもりだと言ったら、妻が『じゃあ、あの女と別れてよ』って。妻は芙美香と面識があったようです。あんな下品で色気ばかり振りまいているような女、と妻が言ったので、それは言い過ぎだろと心の中で思いました。妻に悪口を言われている芙美香が気の毒だった。一方で、彼女の夫はどうして妻に問いたださずに、いきなり恭子に連絡してきたのか」

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