中途半端な節目なのに…松田聖子、田原俊彦、柏原芳恵 「昭和アイドルの45周年」が40周年よりも好調なワケ

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30年超ぶりのオリコンTOP10!の田原俊彦 田原俊彦2025シングル

 次に、田原俊彦を見ると、デビューからまる45周年となる6月にシングル「LIFE IS A CARNIVAL」をリリースし、オリコン週間ランキング8位、なんと32年10か月ぶりとなるTOP10入りを果たした。多くのベテラン・アーティストは、こうした周年イヤーに大作バラードをリリースする傾向にあるのとは裏腹に、ブラスバンドの演奏が弾けるダンサブルなナンバーで勝負するのも、毎年新作をリリースしてきた田原らしい。ちなみに、過去20年から24年にかけての彼のシングルのオリコン最高位は、20年「愛は愛で愛だ」が17位、21年「HA-HA-HAPPY」が11位、22年「ロマンティストでいいじゃない」が20位、23年「ダンディライオン」が13位、そして24年「愛だけがあればいい」が11位と毎回TOP20入りを果たしており、最高位は前後しているが、売上枚数の方は純増していたのもポイントだろう。

 また7月には、TBS系のアーカイブをまとめた5枚組映像ソフト「KING OF IDOL HISTORY in TBS Vol.1」をリリースし、こちらも定価3万円前後の高額商品ながら、音楽BD・DVDランキング週間11位に(DVDは9位)。本作には、「8時だョ!全員集合」や「日本レコード大賞」での歌唱シーンも収録されているが、最大の目玉は、やはり当時の名物番組となっていた「ザ・ベストテン」での映像だろう。本作では、田原がランクインした全36曲のうち、1980~1983年の16曲が収録されているのだが、この16曲分からセレクトされた全74回分だけでも、昭和の歌番組らしい演出がこれでもかというほどてんこ盛りになっていて、あまりの無茶ぶりに笑い過ぎて泣きそうになった。具体的には、走っていく新幹線の中で歌うのも、土砂降りの中で空に放り投げたマイクをキャッチするのも、マジック・ショーで体がバラバラになるのも、一般人に紛れて原宿を歩いていたら数分でパニックになってしまうのも、すべて田原俊彦の出演回で実現しているのだ。しかも、甘い歌声ゆえに評価されづらいが、生放送で激しく踊りながらも正確に歌っているのは見事だし、だからこそ今も現役で歌い踊れているのだろうと納得がいく。なお、7月から11月まで全国ツアー「TOSHIHIKO TAHARA DOUBLE ❛T❜ TOUR 2025 Dance with KING of IDOL 踊るパワースポット!」 が開催中で、全19公演が予定されている。激しいパフォーマンスを続けるという限界に挑みつつ、それを成し遂げていく様子はいつ見ても感動的だ。

「CDでは初」のランクイン…柏原芳恵

 柏原芳恵は6月にキャリア初となるオールタイムベスト「~ 45th Anniversary ~ YOSHIE SELECTION ALL TIME BEST」をリリースし、オリコンCDアルバムランキングで初登場50位となり、アルバムでのTOP50入りは38年ぶり(当時はLPがランクインし、CDでのTOP50入りは初めて)。本作は、柏原芳恵自ら選曲した全40曲収録で、シングル表題曲は15曲のみ。シングルのカップリング曲やアルバム収録曲の方が多く選ばれているのが特徴的だ(オリコンTOP10入りシングルが19曲ある柏原だが、8曲は選外)。卒業シーズンの定番「春なのに」とレコード売上で最大ヒットとなった「ハロー・グッバイ」の2作に集中しがちだが、歌謡曲の一流作家や、名だたるシンガーソングライターからの提供作など、様々な意欲作があることが本作からも実感できる。初回盤に前年のライブ映像「柏原芳恵 コンサート 2024 A・RU・KU 第四章」が付いたことも大きいだろう。また、全国4公演の45周年コンサートも無事大成功に終わったようだ。

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