初対面の感想は「あ、選挙ポスターの人だ」 55歳の会社員が衆院議員と結婚することになったワケ
人生いろいろ、家族もいろいろ、幸福の形もいろいろ。近年、「結婚がゴールではない」という声も大きくなりつつあるとはいえ、ゴールインした二人には幸せになってほしいと思うのが人情というものだろう。
そして、そのゴールに到達するまでには、十人十色のドラマがあるのは言うまでもない。目下、幸せに包まれているカップルにエールを送りつつ、出会いから現在までを根掘り葉掘り聞いてみる「令和の結婚事情レポート」。
今回登場していただくのは、5月19日に入籍した、立憲民主党の代議士の山登志浩(としひろ)さん(45)と、元会社員の水野詠子(えいこ)さん(55)だ。
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「お茶でもしましょう」と丁寧にメール
2006年3月、立命館大学大学院社会学研究科を修了した登志浩さん。翌年4月に地元の愛知県江南市議選に出馬して初当選を果たした際、院の同窓生に「江南市にいとこがいる」と紹介されたのが詠子さん。振り返ればあいさつ回りで詠子さんの両親に支援を依頼し、詠子さんの兄とは同じスポーツジムに通っていたが、彼女とは会わずじまいだった。
その後も付き合いの続いた水野家を15年4月の市議選前に訪れた登志浩さんに、詠子さんの母がパネル入りの写真を携えてきた。「まだ20代の頃の私の写真でした」と照れくさそうに思い返す詠子さん。「ご連絡を下さい」という彼の伝言を母から聞き、「お時間あればお茶でもしましょう」とメールした。至極丁寧な文章をしたためたのは「議員と名の付く人には秘書がいて、読まれると思った」からだ。
「あ、選挙ポスターの人だ」
同月、喫茶店で初めて実物の彼と対面した彼女の感想は「あ、選挙ポスターの人だ」。二人でケーキをほおばり、翌月には選挙の当選祝いを兼ねて彼女が割烹(かっぽう)でごちそうした。こうして自然に食事に行く機会が増え、交際が始まった。同年末ごろになって「いつから付き合い始めたっけ?」という話題で思い浮かべたのが、この時の食事だった。
17年以降は休みの取りやすい正月を東京で過ごすのが定番となり、日枝神社を訪れるようになる。「国会議員がよく来る神社だよ」との説明を受けた詠子さんは当時、まさか後に彼自身が国会議員になろうとは思いもしなかった。
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