「奇跡の回復がコロナ禍で帳消しに」 女優・佳那晃子 くも膜下出血から12年半 「入院費が支払えず、生活保護を勧められ…」 夫・源高志さんが明かす夫婦の今

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中島みゆきの曲を

 源さんの現在の日課は、朝起き、食事の用意をする。そして、午後になると、病院の送迎バスに乗り、見舞いに向かう。

「病室に入って“来たよ”と言うと、かみさんは目を開けてパチっとさせます。午前中にリハビリや入浴があると疲れている風なので、“バテてるんか”と声をかけたりして。それから目薬を差し、顔に軟膏を塗ってあげます。どうしても顔が赤くなりがちなのでね。そして肘や膝の関節にも軟膏を塗って。それから両足のマッサージ。膝の関節を伸ばしてあげると、自分で足を曲げる。その繰り返しです」

 病室では、佳那の好きだった曲も流すという。

「中島みゆきの『ヘッドライト・テールライト』。それから井上陽水、小田和正、ユーミン、山下達郎とかね。音は完全に聞こえていますから。こっちの言っていることも理解できる」

 元気だった頃の思い出話もする。

「以前、うちで飼っていた猫が『さくら』というんですが、“さくちゃんのお墓、修善寺の山の中にもあるよね”と言うと、目をパチッとさせる。“さくちゃんのような猫、また飼いたいよね”と言うと、またパチッと。あるいは、伊豆で良い海岸があったので、その画像を撮って彼女に見せながら、“今度、この海岸の近くに引っ越そうな”と言ったりもします。すると、まばたきを一回する。まばたき1回は“はい”、2回は“いいえ”の意思表示なんですよ。そうやって“会話”を楽しんでいます」

 そして面会時間が過ぎると、再び病院の送迎バスで自宅に戻るのだ。

 源さんは言う。

「いまは元に戻るのは難しいかもしれませんが、せめて車椅子で“散歩”して、かみさんが大好きだった海が見られるようにはしていきたいです。大きいことは望まない。穏やかな暮らしが出来ればそれで良い。俺たち夫婦は結婚して以来、いろいろなことがありましたから……」

後編】では、波乱万丈すぎた夫婦の半生を振り返る。1億7000万円の借金を背負った夫に、妻がかけた言葉、そして、妻が取った大胆過ぎる行動とは。

デイリー新潮編集部

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