粗品も脱帽 二人体制になった「ダチョウ倶楽部」の底知れぬ魅力 笑いを日々アップデート

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2人が持ち味を発揮

 こうした場面から浮かび上がってくるのは、二人体制となった今だからこそ発揮される個々人の魅力だ。かつては上島さんが中心となってリアクションやギャグで笑いを取る場面が多かったが、現在は肥後の柔らかな人当たりと鋭い毒舌、寺門の異常なこだわりと天然ボケが、以前より前面に出ている。今をときめく若手芸人の粗品が彼らとやり取りをすることで、その魅力がさらに引き出されていた。

 有吉も自身のインスタグラムでこの収録を振り返って「粗品感謝」という言葉を残していた。実力があって信頼できる後輩芸人と共演したことで、2人が持ち味を発揮できた。これはただの世代間交流にとどまらず、番組全体を活性化させる役目を果たしていた。

 上島さんという絶対的なエースを失って二人体制になったことで、ダチョウ倶楽部はパワーを失って時代遅れの存在になってしまう危険性もあった。しかし、彼らはトリオとしての持ちネタやギャグを大切にして、歳の離れた後輩芸人とも自然に絡んでいくことで、それぞれの個性を生かした形でダチョウ倶楽部という看板を守ることに成功している。

 時代が移り変わっても、ダチョウ倶楽部が作り出す温かみのある笑いの魅力は変わらない。有吉や土田といった実力のある後輩芸人が、長年にわたって彼らを慕っているのもそのためだ。

 ダチョウ倶楽部の笑いは日々アップデートされている。二人体制になってからも彼らの芸は古びていない。今後も末永く活躍を続けていくはずだ。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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