“慰安婦にクジで選ばれた女性”――松本清張が生涯を通じて書いた戦争に翻弄される日本女性の苦悩
太宰治と同じ年に生まれ、バブル崩壊の時期に亡くなった作家・松本清張は、まさに昭和とともに生き、昭和を丸ごと書いた作家。
中でもこだわり続けたのは日本人、特に女性の中に刻まれた「戦争の影」を描くことだった。『ゼロの焦点』『わるいやつら』といった人気作にもその影は登場する。
徴兵経験もある清張は最前線で目にした女性を、どのように作品に反映したのか。清張作品と女性の関係に注目する酒井順子さんの書籍『松本清張の女たち』から、一部抜粋してご紹介しよう。...

