右派なのに進歩的「イーロン・マスク」に代表される“テック右派”の台頭で浮かび上がるアメリカ社会の歴史的転換点

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絵画「アメリカンプログレス」が示唆するテクノロジーと神の関係値

「19世紀、アメリカの第5代大統領であるジェイムズ・モンローの『モンロー宣言』以降、(西半球の南北)アメリカは“ヨーロッパの事象には関わらないのでヨーロッパも我々に関わってくれるな”という、いわゆる『モンロー主義』を採るようになります」(井上氏)

 代わりにアメリカがやったことが、「フロンティア精神」と表現される西へ西への領土拡張だ。

「当時、アメリカ人たちはその開拓事業を“マニフェストデスティニー”(大いなる天命)とみなしていました。「アメリカンプログレス」という有名な絵画があり、アメリカを擬人化した女神が人々をこの西へ西へと導いている内容なのですが、面白い特徴があります。その女神は手に2つのモノを持っているのですが、左手には本を、右手には電線を持っているのです」(同)

 電線を携えた女神が人々を導き、開拓された土地には電信が通り、鉄道が引かれていく。そうしたイメージを元に描かれた絵ということだ。

「女神に導かれ、馬車や徒歩で西へ西へと移動する農夫たち。そうしてアメリカの領土が拡大されるにつれ、西側に追いやられていくのが野生動物やネイティブアメリカンたちでした。ともあれ、アメリカにおいてはフロンティアを拡大していく使命感の手段として、『宗教』と『テクノロジー』が密接に結びついているということです」(同)

 女神が右手に携えていた電線が、今で言えばインターネットをはじめとする情報技術だということだろうか。

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