東京23区でまた最高値を更新…「含み益マンション」所有者が直面する“利確”か“保有”かの分岐点【“沸騰”不動産の対処術】
もし利確する場合は「特別控除」のルールに注意
ただし、利確がおすすめなパターンも存在する。
「例えば、これまでは“職住近接”で職場の近くに住むライフスタイルだった方が、定年間近となってあえて都心に住む必要がなくなった、というケースです。都心マンションの売却でまとまった老後資金を得たうえで、郊外の“終の棲家”に引っ越すという選択肢です」(山本氏)
そうして売却を決めた際に注意したいのが、「特別控除」のルールだ。
「自身で居住している不動産の場合、3000万円まで売却利益にかかる税金が控除される、『特別控除』という制度があります。この制度に居住年数の要件はなく、自己居住していた物件であれば控除を受けることができます」(同)
ただし、この制度は連続して使うことは許されていない。
「この特別控除は3年に1度しか適用できない仕組みとなっています。また、その期間は新たに住宅ローンを組んで不動産を購入した場合であっても、住宅ローン控除が利用できません」(同)
そのため、同じエリア内での「住み替え」の場合は戦略を立てて売却を行う必要がある。
「基本的に不動産が高く売れるタイミングというのは、買うのも高いタイミングというわけです。逆に売値が安くなるタイミングはその分、買い値も安くなるという表裏一体の関係にあります。不動産価格の三極化が進むなか、資産価値が下がりやすいエリア、つまり都心・駅近でランドマーク、という条件の真逆にある物件は注意が必要ですが、同じエリアでの住み替えに関しては、それほどリスクの伴うものではないと思います。ただし、売却後の3年間で相場が上がり続けた場合、控除でセーブした税金よりも、物件の値上がり幅の方が大きい、ということになりかねません。住み替え先の物件が、住み替え前の物件と同じように資産価値をキープできる物件かどうか、慎重に見定める必要があります」(同)
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