東京23区でまた最高値を更新…「含み益マンション」所有者が直面する“利確”か“保有”かの分岐点【“沸騰”不動産の対処術】
不動産経済研究所の発表によると、2025年上半期の東京23区の新築マンションの平均価格は1億3064万円と前年同期比で約20%上昇し、またもや過去最高を更新した。さらに、不動産調査会社の東京カンテイの発表によれば、東京23区の中古マンションの6月の平均売出価格は70平米で1億333万円と、こちらも最高値を更新している。そうした状況下、マンション購入を検討中の人たちが青ざめる一方で、笑いが止まらないのが既に不動産を所有する人々である。
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【写真を見る】物件価格を巡り起きている“三極化現象”とは――?
都内で数千万のマンション含み益を持つ人が急増
10年ほど前、新宿区の中古マンションを買ったAさんもその1人だ。
「結婚と妻の出産をきっかけに80平米の中古マンションを購入しました。購入価格は6000万円ほどだったのですが、最近お隣さんが引っ越して、その成約価格を知って驚きました。自分たちの買った額の1.5倍ほどで売却が決まっていたのです」(Aさん)
新宿区の80平米マンションが6000万円。今の基準では破格に思えるが、当時は東日本大震災の余韻もまだ残っており、Aさんも迷いに迷った上での購入だった。
「投資目的ではなく純粋に必要に迫られて買った物件ですし、家賃を払うより安く住めればいいな、ぐらいの感覚だったのですが、気が付けば3000万円ほどの含み益に。有難いことではあるのですが、正直、ちょっと現実感がないですね」(同)
3年ほど前に目黒区の新築マンションを買ったBさんもこう話す。
「うちは夫婦共働きなので、多少は値が張っても都心でなるべく駅に近い物件にしようと、ペアローンでマンションを購入しました。既にマンションの値上がりが始まっていた頃で、70平米の物件価格が1億1千万円。買った直後は“やりすぎたかな”と不安に感じていました」(Bさん)
ところが、結果的にはBさんにも含み益が。
「この前、同じ間取りの下の階が1億3千万円ほどで売れていたんです。素直に捉えれば我が家も2000万円ぐらいの含み益があることになります」(同)
なんとも羨ましい話ではあるが、そんな彼らにも彼らなりの悩みが。
「本当にマンション価格は今の水準をこのまま維持できるのでしょうか…。まとまった含み益があるうちに“利確”して少し郊外に引っ越すとか、賃貸暮らしに切り替えた方がトータルでお得なのではないだろうか、と考え始めるようになりました」(Aさん)
贅沢な悩みであるが、実は今の東京にはAさんやBさんのような人たちが少なくないのである。このところの異常なまでのマンション価格の値上がりにより、3年以上前に都心にマンションを買った人であれば、よっぽど条件の悪い部屋ではない限り、ほぼ全員に含み益があると言っても過言ではないのだ。
では、これからの「含み益マンション」との“付き合い方”とは――?
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