東京23区でまた最高値を更新…「含み益マンション」所有者が直面する“利確”か“保有”かの分岐点【“沸騰”不動産の対処術】

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含み益マンションは“利確”するな?

「不動産流通機構のレインズのデータを見ると、最新である今年6月の首都圏の不動産価格の値動きは、東京都内23区は引き続き値上がりしている一方、神奈川県、埼玉県、千葉県近郊エリアでは、前年同月比で価格が上がっていません」

 そう解説するのは、不動産コンサルティング事業を展開する「株式会社さくら事務所」の山本直彌氏だ。

「これが何を物語っているかというと、上がるエリアは引き続き上がるけれど、そうではないエリアでは価格が横ばい、または下落に向かっていく、というサインが既に現れているということです。首都圏では、今後も値上がりするエリアと、横ばいのエリア、そして下落していくエリアとで“三極化”が進んでいるのです」(山本氏)

 では、幸いにも「値上がりするエリア」に不動産を持つ人は今後、どうするべきなのか。

「いま利確を検討している方々は、不動産価格が値上がりしているエリア、つまり東京23区内でかつ、都心部の好立地物件や、タワーマンションなどランドマーク物件を保有する人たちだと思います。そうした物件は今後も横ばいで推移するか、むしろ値上がりする可能性すら秘めています」(同)

 山本氏は、不動産価格が“高い高い”と言われながら値上がりを続けるのには、そこに潜在的なニーズがあるからだと説明する。

「都心の不動産には実需のニーズだけでなく、国内外の富裕層がセカンドハウスや投資用に購入するケースも含まれます。グローバルな目線で見た際に、東京をはじめ日本の都市部の不動産にはまだ割安感があるため、海外富裕層の資金が今後も入ってくる可能性は高い。そうすると、仮にいま利確したとして、1年後2年後にさらに値上がりしてしまっている可能性は十分にあります」(同)

 いま含み益のあるマンションの利確をおすすめしない理由はもう1つあるという。

「それは、いま不動産価格が上がっているエリアでは、賃料も上昇傾向にあるからです。例えば含み益2000万円のマンションを売却し利確し、賃貸物件に引っ越すとします。転居の初期費用には100万円以上かかるうえ、3LDK・70平米の家賃は少し前までは25万円ぐらいだったのが、今は賃料上昇で30万円ほどします。そうすると、1年間で360万円の賃料負担が発生し、売却で得た利益は6年間ほどでペイしてしまいます。逆に言えば、持ち続けて6年間で2000万円以上価格が下がらなければ、利確をするより得をする計算になるのです」(同)

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