「そうめんだけ、はNG」「朝晩みそ汁を飲むと驚きの効果が」 熱中症対策の最強メニューをプロが紹介
みそ汁のススメ
また熱中症対策に役立つが忘れられがちな栄養素として、川口氏は「鉄」を挙げる。
「汗をかくとナトリウム(塩分)と一緒に、実は鉄分も流れ出ています。鉄分は全身に酸素を届けるために必須の栄養素で、不足すると夏バテの原因になります。塩分は食事の味付けやスポーツドリンクなどで補うことができる一方、鉄分は意識して摂取しないとすぐ不足してしまいます。小松菜やホウレンソウ、ブロッコリーなどの野菜や、しらすや貝類など内臓ごと食べる食材にも鉄が多く含まれています。気軽に食事に加えられるものでは、焼きのりや納豆、きなこ、アサリの缶詰がストックしやすい」
汗からは塩分や鉄分だけでなく、体温調節や筋肉の動きを助ける栄養素「マグネシウム」も流れ出ている。実はこれらの栄養素は、みそ汁で多くが補えるという。
「何もすべて自炊する必要はなく、インスタントのワカメみそ汁で塩分・マグネシウム・カリウムを摂取することができ、朝に1杯飲むだけでも非常に効果的です。島根県の高校野球選手の栄養管理をしていた際、朝晩にみそ汁を飲むよう指導したところ、県内で唯一、熱中症患者がゼロの高校になりました。朝食でのりや納豆も加えれば、鉄分も取れてさらに熱中症対策が万全になります」(同)
“そうめんだけ”は「いただけない」
先の谷口氏は、みそ汁にシジミなど魚介類を加えるとよいという。
「シジミやアサリ、イカ、タコなどは、タウリンという体の中心部の温度を下げる効果がある栄養素を多く含んでいます。タウリンは水溶性のため、みそ汁のようなスープで摂取するのが最適なのです。朝食だけでなく、体が火照っている帰宅後などに飲むのも効果的だと考えられます」
暑さでグロッキーになって帰宅した時には、調理が簡単なそうめんなどで済ませたくなる向きも多いかもしれないが、
「何か1品だけで済ませるのはいただけません。そうめんは炭水化物以外の栄養素が全くと言っていいほどなく、それだけ食べていてはすぐに夏バテを起こしてしまいます。野菜の天ぷらなどを加えたり、食欲を増進させるミョウガやネギを添えるのがよいでしょう」(同)
前出のような食材を毎食そろえるのが難しい時は、
「朝食に最も力を入れるべきです。体温や汗の量を調節する自律神経を活発化させるには、朝一番の食事で胃腸を動かす必要があります。朝こそ肉や魚、みそ汁、果物を用意し、水分と栄養をたっぷり補給してください」(同)
近年の暑さに「塩と水」だけが武器では頼りない。充実したメニューと共に、夏を乗り切りたいものだ。
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