「そうめんだけ、はNG」「朝晩みそ汁を飲むと驚きの効果が」 熱中症対策の最強メニューをプロが紹介

ドクター新潮 ライフ

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 先月18日にほとんどの地域で梅雨明けした日本列島は、昨年に続き炎暑に覆われている。夏休みシーズンにしてこの暑さの中気になるのが、命に関わる熱中症から身を守るすべだ。専門家がお薦めする、夏を乗り切れる最強の「メニュー」をご紹介しよう。

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「熱中症? 水を飲んでいるから大丈夫」「塩あめをなめればいいんでしょ」

 夏が訪れるたび、熱中症への対策を自治体やメディアが喧伝するようになった昨今、半ば聞き飽きた忠告に対し、このように答える向きも少なくない。一方で日本の夏の暑さは年々、過酷なものになっているのも事実なのだ。

「今年5月~7月13日までの熱中症による搬送者数は約3万7000人で、前年の同期間と比べ1万人以上増えました。気象庁による『熱中症警戒アラート』の発表は6月までで97回を数え、これも前年同期の2倍以上です。昨年6~9月の熱中症による死亡者数は2000人以上に上り、今年も少なくない数の死亡者が出ると予想されます」(気象庁担当記者)

「水分の取り過ぎは逆に……」

 加えていえば、ここ6年間、熱中症で死亡した人の8割以上が65歳以上の高齢者であり、発生場所では住居が多くを占める。出歩かないし運動もしないからといって、冒頭のような一応の対策だけでは、厳しさを増す暑さに太刀打ちできなくなるだろう。

 管理栄養士で札幌保健医療大学大学院教授の川口美喜子氏は、熱中症対策において水分補給ばかりを重視する傾向に警鐘を鳴らす。

「もちろん水分は大切なのですが“1日2リットルは必ず飲まなきゃ”と強迫観念に駆られたように補給するのは、あまり望ましいといえません。夏場の水分補給の目安は1日に約1.5リットルとされており、三度の食事の際、コップ1杯の水やお茶を飲むだけでも300~500ミリリットルは満たせます。過剰に水だけを飲み過ぎると下痢や胃のムカつきにもつながり、むしろ夏バテを引き起こしかねない。それよりきちんと三食取って、食事からも水分を補給することが大事なのです」

夏野菜に加えて柑橘類を

 済生会横浜市東部病院・患者支援センター長の谷口英喜氏も、食事の大切さを説く。

「体内の水分の4割は筋肉に貯蔵されているほか、筋肉には体温をコントロールする機能もあります。高齢者が熱中症にかかりやすいのは、食事量が少なく筋肉量が減ってしまっていることも原因なのです。肉や魚、牛乳などたんぱく質が豊富な食材を積極的に取り筋肉量を保っておくことは、熱中症対策に有効です」

 とはいえ、筋肉をつけるのは容易ではない。谷口氏はたんぱく質以外にも、ビタミンCが栄養素の中では特に大事だと語る。

「抗酸化作用や抗炎症作用を持ち、暑さにさらされた体を守ってくれます。キャベツやホウレンソウ、トマトなどビタミンCを多く含んだ夏野菜をスープなどにして摂取すれば、水分補給にもなって一石二鳥。ただ、すぐに尿中に排出されてしまうため、三度の食事にオレンジなどの柑橘類を加えてこまめに取れるとよいですね」

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