「Fラン大レベルからトップ企業内定」 学歴コンプレックスを抱え海外大進学で実現した驚くべき逆転劇とは

ライフ

  • ブックマーク

トヨタから楽天まで……留学生の採用は“別枠”

 そんな悲劇に対する特効薬といえるかもしれない。一度乗りかかった受験レースから外れ、“外”に救いを求める手段が、一つの道として確立されつつあるのだ。

「『アイビーリーグ』などのトップ校を目指す優秀層のみならず、国内の高校受験や大学受験でうまくいかなかった生徒が、海外大学や大学院を目指すという事例が昨今増えてきています」

 と、西田氏は続ける。

「海外大学に行けば、ガチガチにレールが敷かれた日本の受験戦争とは別の次元に移ることができます。日本では全く知られていないような大学でも、その経験は日本の就職活動でも評価されるし、当然後の社会人としての人生にも大きなプラスになる。何より、いわゆる旧帝大や早慶、MARCH、日東駒専など、世間から付けられるレッテルから離れ、海外大に進学したという、相対評価によらない一定の見られ方をされるようになるという意味で、一つの“逆転ルート”として大いに価値のある選択肢だと思います」

 なるほど、いくら日本では知られていない名前の大学でも、「海外大学で学んだ」という事実自体が、一目置かれる要素となりうるということか。

「『日東駒専』とくくられる偏差値の大学に行くよりはむしろ、無名の海外大学に進学した方が、国内での就職活動における評価も高いと言っていいと思います。いわゆる『Fランク大学』入学後に必死に勉強して海外大学に編入し、国内の大手重工業企業から内定を得た学生のほか、海外大学に行ったことで、トヨタ、三菱地所、東芝、楽天など錚々たる企業から内定を獲得した学生を数多く見てきました。有名なところでなくとも、海外大学で身に付けた語学力や積極性、あるいは日本よりも厳しいとされる卒業基準を満たすために学業に励んだ経験などは、日本の大手企業から大いに評価されているのです」(同)

 ルートマップマガジン社の代表を務め、栄陽子留学研究所で留学カウンセリングの実務にも携わる、井上孟氏が説明を引き継ぐ。

「たとえばアメリカの大学では、発言の質よりも、とにかく手を挙げて発言することが重視されたり、成績に納得がいかなければ自ら教授と交渉することが良しとされたりします。JTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー)といわれる国内の伝統企業も、グローバル市場で戦っていくには、語学力があり、かつこうした能力を持つ人材が必要だとわかっている。だからこそ海外大学で学んだ学生は、『日本の優秀な学生』との別枠を設けてでも採用したいのです」

「ボストンキャリアフォーラム」という就活イベントをご存じだろうか。就活サイト大手キャリタスが、アメリカ・ボストンで主催する就活イベントで、毎年11月頃に3日間にわたって開催されている。海外に留学している日本人を採用したい日本企業が数多く出展し、この3日間で内定が出るのが特徴だ。アメリカ以外でも、東京やロンドンなどで開催されることもあるが、基本的には「海外経験を持つ日本人」を一本釣りするイベントである。

「マッキンゼーなど世界的コンサルティングファームから、三菱商事などの五大商社まで、有力企業がこぞって出展していますが、この枠での内定をねらえるのは、基本的に海外大経験者のみ。通常の新卒ルートならとんでもない倍率を勝ち抜かなければならないような企業でも、別ルートで受けることができる。それだけ日本の大手企業は海外人材を欲しているということです」(井上氏)

次ページ:英検3級レベルでも

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。