謎多き犯罪グループ「トクリュウ」に“決定的な弱点”…元ヤクザが明かす「民家より詐欺グループを襲うほうが簡単だった」の意味

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本物の警察官が……

 現地事情通が話す。

「セットアップというのは、出張などで訪れた日本人男性が現地の女性と『遊ぶ』ように仕向けた後、その女性が被害届を出すなどし、警察官が登場。示談金と称して多額の金銭を脅し取るというものです。ポイントは、ここで登場する警察官が、ニセモノの場合もあればホンモノの場合もあるということです」

 現にJPドラゴンは、同国の有力者が好む闘鶏ギャンブルを運営して人脈を築き、現職の警察官を護衛として雇っていたとされる。しかもルフィグループは、彼らに金銭をだまし取られたり詐欺のかけ子メンバーを奪われたりしていたという。

 しかし、そうした「被害」に遭っても、助けを求める相手はどこにもいない。自らの正体を徹底的に秘匿しようにも、組織に忠誠心などないメンバーの口からいくらでも情報が洩れる。

 こうした「組織力の脆さ」を逆手に取り、警察はすぐにトクリュウを逮捕することはできなくとも、すでに入手した容疑者の身辺情報をどんどん公開することで、組織を内部崩壊へと追いやることができるかもしれない。

 あるいは、公共事業の談合に関する課徴金減免制度と似た仕組みを導入するのも有効かもしれない。この制度は、事業者が自ら関与したカルテル・入札談合について、その違反内容を公正取引委員会に自主的に報告した場合、課徴金が減免されるものだ。これを真似て、トクリュウのメンバーに情報提供を促し、そこで得られた情報をばら撒くのだ。特殊詐欺や広域強盗に対する厳罰化を伴うなら、有効性はさらに増すだろう。

 トクリュウは、秘匿性を武器としている。摘発にあたっては、それをはぎ取ることが重要なのだ。

金賢(キム・ヒョン)
1972年、東京生まれの在日韓国人3世。朝鮮半島情勢や経済事件、外国人犯罪などをフォロー。李策のペンネームで『板橋資産家殺人事件の真相「日中混成強盗グループ」の告白』(宝島社)など著書・共著書あり。

デイリー新潮編集部

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