議論が白熱する「自民党分裂」は現実となるか? もはや“机上の空論”ではなく「政界再編につながる重要な政治課題」と識者

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すでに“数の力”を失った自民党

 こうなると自民党分裂論はネット上だけの議論ではなくなってくる。首相を筆頭に多くの国会議員がリアルな政治課題として認識しているのだ。

 ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「有権者が政治家に突きつけた“民意”は、まさに政界再編なのだとネット上の議論から浮かび上がります」と指摘する。

「かつての自民党は右から左まで、多種多様な政治思想を持つ国会議員が一つの政党に属するところに強さがありました。派閥がそれぞれ保守系やリベラル系などまるで政党のような色を持ち、ある派閥出身の首相が国民の人気を失えば、別の派閥から首相を選ぶという“疑似政権交代”で国民の支持を維持してきたのです。こうした統治システムが機能したのは、国民が自民党を圧倒的に支持し、“数”があったからです。衆参両院で単独過半数を確保し、いわゆる一党独裁でした。ところが現在の自民党は衆参両院で過半数の議席を失って小数与党になっています。既に“数の力”は存在しないのです」

 過半数の議席を確保していない自民党が昭和のように右と左で激突しても、疑似政権交代を起こすわけにはいかない。何しろ石破首相が辞任したとして、誰が次の首相になるかは不透明だ。あくまでも理論上だとはいえ、野党が政策協定を結んで新首相を選出することは可能なのだ。

政界再編につながる可能性

「少数与党の自民党で激しい“石破おろし”が繰り広げられたため、まさに党内を激震が走っています。保守派とリベラル派の対立は先鋭化するばかりで、議論の激しさを受け止める余裕がありません。その結果、分裂が現実味を帯びてきたというわけです。ネットに投稿されている自民党分裂論は決して素人の当て推量ではなく、政界再編につながる重要な政治課題です。そして僕の個人的な見解としても、自民党が分裂の節目を迎えつつあるのではないかと思います」(同・鈴木氏)

 第2回【もしも自民党が「高市新党」と「石破新党」に分裂したら…専門家が「最も得をするのは有権者」と断じる“納得の理由”】では、もし自民党が保守色の強い新党と、リベラル色の強い新党の2つに分かれると、有権者にとってもメリットが大きいことを、ジャーナリストの鈴木哲夫氏が解説する──。

デイリー新潮編集部

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