13年ぶりに帰ってきた「あ展」 大人も夢中“動詞で遊ぶ”デザイン体験
「むち」「パリ」「ジュワ」など食べた時の感触が記された丸いつみ木を、ハンバーガーや海苔巻きの中にはめ込んで食べ物を想像上で完成させる「オノマトピース」。
天井に逆さに吊るされたゴミ箱にゴミを捨てる(?)「るてす」。
壺をこわす、なんて滅多に出来ないことを思い切り楽しんで、そしてなおす「こわすとなおす」。
いろいろな「動詞」を体験した後に、あたかもゴール地点のように設けられているのが「デッサンあ」。広々としたスペースの真ん中に、これほど複雑な形の椅子があるだろうかと思えるほどの多機能のワークチェアが1脚置かれ、その周りを大勢の来場者がぐるりと囲む。老いも若きも関係なく、誰も彼もが黙って夢中で鉛筆を走らせてデッサンしているのだ。この光景が一つの展示といっていいほどに何よりも印象的で、そして美しい。
「かく」行為が、押し付けではなく自発的になるために流れがデザインされた展覧会。「かく」ために「よくみる」が絶対的になる複雑なデザインの椅子。
これらの後に、映像と音楽の没入体験で、「あ展」のクライマックスに身をゆだねる。改めて、「つくる」という行為は美しい、と感じる。そして、この映像や音楽をじっくり時間をかけて作った人たちにも思いを馳せてみたりする。
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