韓国、イランに抜かれ、“論文引用”が「世界13位」に転落の衝撃…「塩崎彰久」自民党副幹事長が語る“科学技術立国” 日本の再興

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国会質問2週間後の通達

――企業の有価証券報告書(有報)について、定時株主総会前の開示の重要性を唱えてきた。

 弁護士時代からさまざまな企業のコンプライアンス案件に携わり、企業統治(コーポレートガバナンス)の強化が日本の成長のために必要だと感じていた。例えば、科学技術関連の部分では、R&D(研究開発)投資が少ない一方、内部留保が多いと指摘されている。株主を含むステークホルダーの声を受け止め、ガバナンスがより効いてくれば、日本企業の成長力は上がると思う。

 長年の課題でありながら、変わらなかったのが、定時株主総会前の有報の開示だ。多くの企業が、事業報告書より多くの情報を含む有報を、総会の当日、または翌日に開示しているという実態があった。

――今年、国会質問により、前進を成し遂げた。

 今年2月の衆院予算委員会分科会で、加藤勝信金融担当相に対し、本来は総会の2、3週間前に有報を開示し、株主が十分な情報を持った上で質疑できるのが望ましいと指摘した。そして、急な変更が困難なら、せめて総会の1、2日前の開示を企業に促してほしいと求めた。

 その2週間後に早速、金融担当大臣名の通達を出してくれた。5~10社でも対応してくれたらありがたいと思っていたが、日本経済新聞によると、3月期決算企業の55%が総会前開示に応じていた。まさに「山が動いた」と、大きく感動した。

ナッジ理論

――総会前開示が進み始めたことの意義は。

 1、2日前でも総会前に開示すれば、株主は多くの情報を基に総会で質問できる。逆に総会前に開示しないなら、企業の代表者は、その理由の説明を求める質問に備えなければならない。

 企業はこれまで、総会前に情報をできるだけ出さないようにして、リスクを回避するといった対応を続けてきたように思う。今後は株主の意見を含め、できるだけ深く対話することで、よりよい経営を目指す形に変わっていくはずだ。それこそが日本の経済成長力の底上げにつながると思う。

――なぜ、働きかけが成功したのか。

 大きな変革をする場合、通常は大きなエネルギーが必要だ。しかし「ナッジ理論」というのがある。端境で小さなきっかけがあると、わずかな変化が起き、それが大きな変革の導入につながるというものだ。有報の総会前開示は、まさにナッジ理論がうまく機能したパターンだ。これまで、総会2週間前の開示を目指す法改正の動きがあった。今回は、1日前ならできなくはないし、できない理由も見つけにくいとして、多くの企業が対応してくれたのだと思う。

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