韓国、イランに抜かれ、“論文引用”が「世界13位」に転落の衝撃…「塩崎彰久」自民党副幹事長が語る“科学技術立国” 日本の再興

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大学改革は「脱護送船団」

――中間提言のポイントは、どうなりそうか。

 大きく三つの柱がある。まず、科学技術と経済安全保障の有機的な連携。一つの科学技術研究の行方が、一国の経済安全保障に直結するようなものが多く出てきている。そのような重要な科学技術には戦略的に投資する必要がある。

 次に、世界トップレベルの基礎研究力の回復だ。世界で13位ではいけない。具体的目標を立て、達成に向け、なすべきことを考える。

 最後に、改革実現力の抜本強化。一言で言えば、大学改革における護送船団方式をやめ、それぞれの大学の機能分化を進める。トップ10%の論文数をどんどん生み出す大学は必要だが、すべての大学がそうならなくてもいい。例えば、各地域で人材育成に集中する大学も必要だ。大学の特性に合わせ、さらなる機能分化の推進を打ち出したい。

 政府には、中間提言を重く受け止めてもらいたい。また、調査会は、提言の提出後は年末にかけ、有識者らからのヒアリングを継続する。政府による計画策定に向けた具体的検討に、提言内容が反映されていくかを確認したい。

「一石三鳥」

――科学技術の向上を重視する理由は。

 政治の世界に入って驚いたのは、悲観的な声がとても多いことだ。人口減少の進行、財政状況、経済力低下などが背景にあるのだろう。多くの国民の皆さんに希望を届けることが、政治の役割だ。

 人口減少が進む中、一人ひとりが豊かに、幸せになるため、どの国よりもテクノロジーを積極的に導入する必要がある。科学技術力は日本の成長のための大きな柱だ。

――テクノロジー活用の具体例を知りたい。

 例えば、社会保障分野は従来、負担を上げるか、あるいは給付を下げるかの二者択一で議論されていた。私が昨年に厚生労働大臣政務官として取り組んだのが医療DXだ。

 国民皆保険の下における高品質な医療・介護データは、デジタルにつなぐことで、医療の質を上げ、医療・介護にかかるコストを下げ、さらにイノベーションを生み出すという「一石三鳥」のアプローチが可能になると思っている。他分野でも、そうした手法を取ることができる部分を見極め、取り組むことが必要だ。

ドローンで農薬散布

――他には、どのような分野がありそうか。

 米の値段の高騰が課題になっている。農業も科学技術を生かせば生産性を上げる余地が多くあるのではないか。例えば、大型トラクターを導入すれば、これまで大人数でやっていた作業を1人でできる。ドローンを利用すれば、山向こうの畑まで農薬の散布が可能となる。

 設備投資によりテクノロジーを使えば、生産性が上がる。ただ、その前提条件として、一定の規模集約化が必要となる。そうした条件を整えるのも政治の役割だ。人口減少が進行し、生産性を上げないと国は縮小してしまう。逆に、人口が減少しても生産性を上げれば、もっと豊かになれる。そこに日本の未来がある。

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